DeNAが29日にソフトバンクとの日本シリーズ第3戦(みずほペイペイ)で4―1と勝利。連敗を止めて下克上への気運も出てきた一方、本紙評論家の宇野勝氏は遊撃守備の〝差〟を指摘した。
【フルスイングの掟・宇野勝】DeNAが初勝利を挙げて対戦成績を1勝2敗としたことで、日本シリーズは面白くなってきた。さすがだったのはエース・東だ。走者を許しながらも粘り強い投球で7回1失点。この日の勝因は東の好投に尽きると言っていいだろう。
1つ勝ったことでDeNAナインも精神的にだいぶ楽になったはずだ。「これでいける」という気持ちになれば、勢いに乗ってくる。初回に両チームが1点ずつを取り合う展開となったが、少し気になったのがDeNAの遊撃手・森敬の守備だった。決してヘタではないと思うが、緊張感もあったのか、普段通りのプレーができていなかった。
初回一死、柳田の遊撃への打球を森敬が処理したものの、一塁への送球がそれて内野安打。うまいショートならアウトにできたプレーだった。さらに一死一、二塁から山川はショート正面へのゴロ。イージーゲッツーの打球だったが、森敬はこれをファンブルしてしまい、一塁はセーフとなった。捕球する前に顔がセカンドキャンバスの方に向いていた。日本シリーズの大舞台で焦ってしまったのかもしれないが、ここでゲッツーを取れなかったことが、近藤の同点適時打につながってしまった。
一方、ソフトバンクの遊撃手・今宮は肩も強いし、フットワークもいい。2回の先頭打者・宮崎が放った三遊間深いところへの打球も難なく処理してアウトにしたが、やはり守備面での安定感は抜群だ。経験値も含めて森敬とは〝差〟があるように感じた。
短期決戦では守りのミスで流れが変わることがある。ソフトバンクはシーズン中の失策数が12球団最少の53。これに対してDeNAは12球団最多の96失策を記録している。強打のチーム同士の対戦となった今年の日本シリーズだが、いかにミスを防ぐかが日本一のカギを握るような気がする。(本紙評論家)