ドジャースの大谷翔平投手(30)は29日(日本時間30日)に敵地ニューヨークでのヤンキースとのワールドシリーズ(WS)第4戦に「1番・DH」で先発出場し、初回先頭は遊飛だった。第2戦で左肩を亜脱臼し、万全な状態ではないが、チームが3連勝で悲願の世界一に王手をかけており、2試合連続で強行出場に踏み切った。そんな中、舞台裏でも存在感を発揮していた。ヤンキー・スタジアムのチームストアで大谷のユニホームが販売されていたのだ。WSでは超異例の事態に米メディアは「球団史上最低」と猛批判している。
初回先頭、相手先発の右腕ヒルの高めのフォーシームに詰まった遊飛だった。
大谷は出場が危ぶまれた第3戦にテーピングで患部を固定して強行出場した。3打数無安打に終わったが、ヤンキースは徹底的に警戒。初回先頭はストレートの四球で歩くとフリーマンが先制2ラン。3回無死一塁は二ゴロで走者を進めると続くベッツが適時打を放ち、チームが挙げた4得点中、3点に絡んだ。
打席で見せた存在感はグラウンド外ではそれ以上だ。ヤンキー・スタジアムのチームストアではヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(32)とのコラボグッズを販売。Tシャツやピンバッジ、首振り人形などが大人気だ。6月7日からの3連戦でも大谷とジャッジのコラボグッズは販売されたが、WSで相手球団の選手とのコラボグッズを販売するのは初だという。
米メディアのスポーツ・ビジネス・ジャーナル(電子版)は担当者のコメントを紹介。「6月にドジャースがヤンキー・スタジアムを訪れた際、大谷のグッズは2時間で売り切れた。そのため、ワールドシリーズに向けて大谷グッズの注文を2倍に増やした」。54本塁打の大谷と58本塁打のジャッジの本塁打王対決は最注目とあって、ドジャー・スタジアムのグッズショップでも大谷とジャッジのコラボグッズは飛ぶように売れていた。
それだけではない。ジャッジやソトのヤンキースの選手とともにWSパッチの付いた大谷のユニホームも売られているのだ。相手チームのユニホームをWSで販売するのは超異例だろう。異次元の人気にヤンキースも軍門に下ったということだ。
この状況を米メディアのヤンクス・ゴー・ヤードは「ヤンキースがワールドシリーズ第3戦でショウヘイ・オオタニのジャージーを販売したことは象徴的で恥ずかしいことだった」と猛批判した。
「ヤンキースは本当に(ヤンキー・スタジアムの)チームショップでショウヘイ・オオタニのドジャースのジャージーを販売する低俗な行為をしなければならなかったのだろうか?」と疑問を投げ掛けるとこう続けた。
「ドジャースがアーロン・ジャッジで同じことをしただろうか? 一体、何枚売れたのだろうか? ドジャースファンのうち何人がジャージーを持たずに来場したのだろうか? 400ドルの利益は恥知らずな行為に見合うものだっただろうか?」
さらに「ヤンキー・スタジアムでワールドシリーズ中にドジャースのジャージー(ユニホーム)を販売するのは球団史上最低」とバッサリ。最後は「ハル・スタインブレナー(オーナー)がわずかな利益のためにチームの誠実さを犠牲にしたことは現在のヤンキースを象徴している」と断罪した。
大谷のユニホームの売り上げは昨年から2年連続でMLBトップ。投手に復帰する来季は史上初の「54本塁打―59盗塁」を達成した今季より大騒ぎになるだろう。ドジャース以外の29球団の本拠地で販売されるかもしれない。