これが「横浜進化」のポテンシャルの高さだ。DeNAが30日の日本シリーズ第3戦(みずほペイペイ)でソフトバンクに5―0と大勝。助っ人左腕の力投と打線爆発で連勝し、2勝2敗のタイに持ち込んだ。
本拠地・横浜への〝帰還〟が決まった三浦大輔監督(50)は「帰ることが目標じゃないから、勝たないと」とキッパリ。加えて7回4安打無失点の快投でチームを勝利に導いた先発のアンソニー・ケイ投手(29)を「最高の投球をしてくれた」と激賞した。
ケイのシーズン成績は6勝9敗、防御率3・42。年俸1億1600万円(推定)を稼ぐ外国人投手として正直に評せば、いま一つ物足りない。しかしながら、そんな今季のケイを三浦監督は辛抱強く起用。シーズン中に150キロ台がコンスタントに出るほど球速が上がった。その理由を、ケイ本人は、こう明かしたことがある。
「一番の要因はチームの小森(朋実)トレーナーのおかげだよ。彼のエクササイズをしっかりやることで肩、ヒジの状態がよくなり、強度も上がった。それが最近の出力の高さにつながっている」
今回の登板前には東やジャクソンに仰いだ助言が役に立ったという。
シーズン中は打ち込まれると4文字の〝Fワード〟を連発。打たれてベンチに帰るや、グラブを投げつけたりしていた。
「マウンド上での素行はよくないね。もっと冷静に投げるようにしたいと思っている」とケイは反省の弁を口にするが、三浦監督は寛容だ。
「まあ、いいんじゃないですか。そうやって切り替えられるんなら。クワ(桑原)も時々、そんなことをやってますよ」
その助っ人左腕を援護する貴重なソロ本塁打をかっ飛ばしたのが、宮崎敏郎内野手(35)だ。1点リードの重苦しい展開の中、7回に敵地の左翼席へ中押しの2点目となる一発。筒香、桑原、柴田らと同じく2017年のシリーズを経験しているベテランだが、宮崎だけは当時のことを「あまり覚えていない」という。
「記憶がないし、映像も見てないですね。見たくないんじゃなくて、見る時がない。今とはメンバーも状況も違うし。気持ちは高まってはいますよ。しっかりベイスターズらしい野球を見せられればと思っています」
試合後は自らの本塁打を振り返ることもなく「回の先頭だったので塁に出ることだけ考えてました。明日は明日ですから、切り替えて頑張ります」と淡々と話し、真っ先に宿舎へ帰っていった。
宮崎もケイもいい意味で個性派の〝変わり者〟ではあるが、グラウンドではしっかりチームを引っ張っている。これなら今後の活躍も十分に期待できそうだ。