衆院選が終わり、落選した前職議員が東京・永田町の議員会館で引っ越し作業に追われている。自民党は2009年の政権交代選挙以来となる大敗で、退去する前職議員の数も多く、さらに秘書らも派閥解体のあおりを受けて悲鳴を上げている。
永田町では選挙後に恒例の前職議員の引っ越し作業がピークを迎えている。議員会館および議員宿舎の退去期限は10月31日で、一部のエレベーターは引っ越し専用となって、せわしなく荷物が搬出された。その片隅で、あいさつ回りする落選者の姿もあれば、当選議員の部屋にはお祝いのコチョウランが室内からあふれ、廊下にまで並び、明暗が分かれている。
再選できなかった前職議員の秘書は「もう議員は自分の今後のことしか考えてなく、私たちのことなんて二の次です。以前までは議員が失職しても派閥が互助会的な意味合いで、秘書の行き先の面倒を見てくれたんですが、事実上解体してしまったので、もう期待できません」とこぼす。
パーティー収入の不記載など問題を抱えた自民党の候補者らが27人落選したのをはじめ、多くの前職が去る一方、新人で当選したのは20人にも満たない。「国会議員は国の税金でまかなわれる公設秘書を3人雇えます。新人議員でもそれぞれお抱えがいるので、空き枠が出るとすれば、資格が必要となる政策秘書ぐらいで、奪い合いになるでしょう」(党関係者)
参院から衆院にくら替えチャレンジも落選した日本維新の会の音喜多駿氏はXに「自分の生活…も勿論ありますがその前に、特に現職議員の場合、秘書たちの雇用・生活を考えねばなりません」とポストした。
「音喜多氏のように秘書の面倒をしばらく見るというのはまだいい方で、大物議員でなければ、別の事務所や他の職へのあっせんもない。ほとんどがクビか次の選挙へ向けて、無給でやってくれと頼まれるところです。ほとんどの秘書があぶれるので、政権交代選挙の時のように野党側へ移籍する者も出てくるでしょう」(同)
落選すればタダの人ともいわれる国会議員だが、運命共同体の秘書もお先真っ暗。その怒りは落選した議員に向けられるのか、それとも派閥解体をした岸田文雄前首相、選挙の責任者である石破茂首相となるのか――。