バイデン米大統領の「ごみ」発言が思った以上にカマラ陣営にダメージを与えている。これまで失言が多い〝バイデン隠し〟に成功してきたが、11月5日の大統領選直前にバイデン氏が悪目立ちしてしまった格好だ。大接戦の中、民主党支持者の間で、2016年のヒラリー・クリントン氏の悪名高い「嘆かわしい人々の集まり」発言がフラッシュバックしているという。
ニューヨークの「マジソン・スクエア・ガーデン」で27日夜に開かれた共和党候補トランプ前大統領の集会では、登壇したコメディアンのトニー・ヒンチクリフがプエルトリコのことを「海の真ん中に浮かんだごみの島」と中傷し、トランプ陣営が批判を浴びた。
これにバイデン氏が29日、プエルトリコを擁護しようとしてか、トランプ支持者を「ごみ」と発言してしまった。どちらの支持者であろうと有権者を「ごみ」と呼ぶのは失言だ。
トランプ氏は敵失に乗じて、30日に激戦州の中西部ウィスコンシン州で、集会前にごみ収集車に乗り込むパフォーマンスを披露した。トランプ氏は集会にもごみ収集員が着る安全ベスト姿で現れ、「私の支持者をごみ呼ばわりした」と批判した。
民主党候補カマラ・ハリス副大統領は30日、「私を支持するかどうかにかかわらず、すべての米国民の大統領になる」と火消しを図った。
大統領選まで1週間を切ったところでのバイデン氏の失言に、米メディア「アクシオス」は「民主党議員は、なぜ81歳の大統領が選挙活動からほとんど遠ざけられてきたのかを明白に示すものだと語った。別の議員は、誰かが選挙が終わるまでバイデンを視界から外す必要があると述べた」と報じた。
米事情通は「もともと失言が多く、認知機能に問題がありとされたので、バイデン氏は大統領選から撤退した。ハリス氏の選挙活動でバイデン氏は目立たなかった。トランプ氏と大接戦の中、最終盤でバイデン氏が失言。民主党内では、2016年大統領選で民主党候補ヒラリー・クリントン氏がトランプ支持者を『嘆かわしい人間』と呼んで批判され、敗因の一つになったことがフラッシュバックしているそうです」と指摘している。