ドジャースの大谷翔平投手(30)が30日(日本時間31日)にメジャー7年目で悲願の世界一を達成した。敵地ニューヨークでのヤンキースとのワールドシリーズ(WS)第5戦に「1番・DH」で先発出場したが、左肩を亜脱臼した影響もあって4打数無安打だった。しかし、全員野球で5点差を大逆転。チームは4勝1敗で4年ぶり、8回目のWS制覇を果たした。10年契約の1年目で味わう歓喜のシャンパンファイトで大谷は「あと9回やろう」と宣言。連覇を期待する米メディアには「ドジャース王朝」の活字が躍った。
9回二死、最後の打者バードゥーゴのバットがビューラーのナックルカーブに空を切ったのを見届けると大谷はベンチ端から飛び出し、両腕を振ってマウンドに突進した。歓喜の輪に加わるともみくちゃになった。
夢に見ていたWS制覇に「いや、もう本当にただただうれしい。新しいチームに来て最高の終わり方ができて、最高の1年だったと思います。このチームを誇りに思う」と言葉を弾ませた。
そして今季4度目のシャンパンファイトでは左肩の痛みを忘れたかのようにかけまくっていた。インタビューでは「もっともっと、何回やってもいいと思う」と答えていたが、大谷獲得の立役者のアンドリュー・フリードマン編成本部長には本音を伝えた。
「オールライト、ナインモア、ナインモア(よし、あと9回、あと9回やろう)」と叫んでシャンパンを降り注いだという。契約が残っている9年間全てWSで優勝する、まさかの10連覇宣言だ。
一部始終を目撃していたロサンゼルス・タイムズ紙のディラン・ヘルナンデス記者はコラムで「あれは冗談ではない」と紹介した。
3連覇以上は過去4度で最長はヤンキースの1949年から53年の5連覇で、最後はヤンキースの98年から2000年の3連覇だ。以降、連覇した球団はない。つまり、21世紀のMLBでは黄金時代は続かないということだ。
来季のドジャースは攻撃面では大谷、ベッツ、フリーマンのMVPトリオ、マンシー、スミス、エドマンが残留。FAになるT・ヘルナンデスも再契約を希望している。投手陣は山本、グラスノーに加え、投手・大谷も復帰する。カーショー、ゴンソリン、メイも戻ってくる予定。FAでの補強も見込まれ、戦力は今季より間違いなく厚みを増す。
そんな状況をMLB公式サイトは「ドジャースは、間違いなく王朝です」と断言。米メディア「ザ・スコア」は「この優勝はより大きな何かの始まりになるかもしれないと感じている。WSを連続で制覇した最後のチームは1998年から2000年のヤンキースであり、今年のドジャースはその偉業を成し遂げることができる稀有なチームのように感じる」と新王朝の始まりと報じた。
CBSスポーツ(電子版)は「2025年を見据えると、ドジャースは野球界で最も才能のあるチームになる可能性が高く、これが王朝の始まりであるとみることができる」と指摘。フリードマン編成本部長の手腕と優秀な選手育成システムを持っていることを理由に挙げた。米メディア「DEADSPIN」も「ドジャースがWSで優勝、王朝の地位を目指す」と伝えた。強いドジャースを待っていたのだ。
まずは来年の連覇。そこから大谷主役の王朝がスタートする。10年でWS制覇のチャンピオンリングを何個手にすることができるか