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無味無臭をキャッチ!快適な環境を作る「CO2測定器」

東スポWEB 2024年11月3日 10時6分

気候変動の原因となるCO2(二酸化炭素)対策が重視されるようになって久しい。環境をチェックするCO2濃度計にも注目が集まる。専門家にCO2濃度計の利用法と選び方を聞いた。

【CO2濃度は室内の空気汚染の目安】

人間は健康で快適な生活を送るために環境データを計測する。環境データとは気温や湿度、風速などのことで、その一つがCO2濃度である。

CO2濃度計は一時期のコロナ禍で飛ぶように売れた。密閉空間に多くの人が密集し近距離で会話したりする「三密」を避ける感染対策が重要とされたからだ。人が密状態になってCO2濃度が1000ppmを超えたら換気することが推奨され、CO2濃度計がいろいろな場所で使用されるようになった。

コロナは下火になったが、それ以前からCO2は温室効果ガスとして問題視されている。化石燃料の大量消費による大気中へのCO2放出が世界各地の異常気象の主因だとされる。

人間も、呼吸をするとCO2を排出する。密室では人間の呼吸によって急速に濃度が高まる。CO2濃度が高くなると人間の知的活動や生産能力などのパフォーマンスに悪影響を与える。CO2濃度は室内の空気汚染の目安なのだ。

化石燃料を焚いたりすれば、さらに高くなる。2000ppmを超えると頭痛、眠気、倦怠感、注意力散漫など体調にも影響があるとされる。

ただしCO2は無色無臭であり、CO2濃度は目で見えないだけでなくニオイを嗅いでも分からない。そのために使われるのがCO2濃度計だ。

【不正確な測定値にご注意】

「CO2濃度計は、コロナ禍の一時的需要増は落ち着きましたが、引き続き大学や研究機関での利用、環境教育、室内換気促進などで当社製品をご利用いただいております」と語るのはユードム(茨城県水戸市)の森淳一社長である。同社はソフトウェア開発を主業とするが、CO2濃度計測システムをコロナ禍以前から長く手がけている。

コロナ禍以降も換気対策のために公共施設、学校、一般企業や病院、飲食店などに導入されているほか、最近では室内だけでなく自動車運転中の眠気対策として車内をモニタリングする用途にも利用されるようになっている。CO2が1500ppmを超えると眠気を催すとされる。

ただし、CO2濃度計でも安価なものは正確なCO2濃度が計測できないので注意が必要だ。コロナ禍では数千円程度の価格のCO2濃度計が爆発的に売れたが、安価なCO2濃度計は簡易型のセンサーが使われることが多く、このレベルのセンサーでは正確にCO2濃度が計測できないという。

「CO2濃度測定ではNDIR式センサーを使った測定器が一般的に推奨されています」(森社長)

NDIRとは非分散型赤外線方式といって、CO2が赤外線を吸収する性質を利用してその濃度を算出する。この方式がCO2濃度計のセンサーの主流となっている。

ユードム製のCO2濃度計は研究用などにも使われるだけに1台5万4000円(税別)といった価格になっている。これに対し安価な5000円程度以下のCO2濃度計は、CO2が含まれているはずの人間の息を吹きかけても計測値が上がらなかったり、CO2が400ppm程度のはずの室外でも、その計測値まで下がらなかったりするので不正確なことが簡単に分かる。CO2濃度計を選ぶ際の参考にするといいだろう。

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