ソフトバンクが3日の日本シリーズ第6戦(横浜)に臨んだもののDeNAに2―11と大敗し、2020年以来4年ぶりの日本一はならず。相手の下克上Vを許し、屈辱の同シリーズ4連敗で通算2勝4敗となり涙をのんだ。レギュラーシーズンで貯金42のリーグ覇者が貯金2の3位チームに辛酸をなめた。そんな〝まさかの結末〟が第6戦に集約されていたことを元ソフトバンク投手コーチで本紙評論家の加藤伸一氏は示唆した。
【加藤伸一・インハイアウトロー】ソフトバンク先発の有原は3回6安打4失点で降板したが、結果ほど調子は悪くなかったと思う。ただDeNA打線には勢いがあった。3連勝で王手をかけてホームに帰ってきたということで各打者がストレスなく打席に入っていた。
2回、筒香の先制本塁打はチェンジアップが甘く入ったところを仕留められた。この一発でDeNA打線はさらに積極的になったし、逆に有原には動揺があった。3回二死満塁で森に4点目となる押し出し四球を与えたのも、もう一敗もできないというプレッシャーの影響からだろう。
5回には3番手・スチュワートと4番手・岩井が打ち込まれて7点を失った。この場面でシーズン中1度もリリーフ経験がなく制球力にも難のあるスチュワートをマウンドに送るのはどうかと思ったし、ルーキーにも酷な場面だった。
第3戦以降、ソフトバンクはリリーフ陣が打ち込まれるシーンが目立ったが、ポストシーズンに向けて、どのチームよりも準備期間はあったはず。先発が早い回でマウンドを降りたときに誰を送り出すのかをしっかり固めておくことができなかった。
王手をかけられてもう一敗もできないゲーム。この日、モイネロはベンチ入りしていなかったが、モイネロを2番手で投げさせて第7戦は総動員で臨む。そういった短期決戦の投手起用を考えてもよかったのではないか。
(本紙評論家)