日本ハムの今川優馬外野手(27)が今月1日から行われている本拠地(エスコン)での秋季キャンプで連日にわたり猛アピールを続けている。
来季プロ5年目を迎える道産子戦士は2年目だった22年に一軍94試合に出場。打率2割2分7厘、10本、39打点を残し一時は外野のレギュラーを奪う勢いを見せた。だが、期待された昨季は28試合の出場に止まり打率も1割9分7厘と低迷。今季に至っては僅か6試合の出場に終わったことから来季に向けた巻き返しに余念がない。
キャンプ3日目には、全体練習後に志願の特打を敢行。同僚の郡司と共におよそ20分間にわたりバットを振り続けたかと思えば、その前日には万波、水谷、矢沢ら外野主力に交じり特守を行う熱の入れようだった。まだ来季開幕まで時間があるにも関わらず、なぜこの時期から自らを追い込むのか。今川に聞くと「僕は今からアピールしていくしかないので」とその理由をこう続けた。
「(新庄監督が指揮を執り始めた)2年前までは試合にも多く出場させて貰いましたが、ここ2年は見てのとおりなので。守備に関しては自信があると言うとおこがましいかもしれませんが守れると思うので。そうなると僕はもう打って打って打ちまくらないと試合に出られない。だからこそ今からやるしかないのです」
この時期から鍛錬に励む背景には今季味わった自身の悔しさもある。
チームは2年連続最下位からリーグ2位に躍進も、自身はその過程を二軍から呆然と見守るしかなかった。
今年5月6日に初めて一軍昇格を果たしたが、僅か2週間で登録抹消。その屈辱に追い打ちをかけるように二軍戦でも1カ月以上スタメン出場が与えられなかった。
「さすがにその時は本当に悔しかったのですが、同時に『チームに必要とされていないんだ』というのをひしひしと感じました。そんな思いもあり実は今オフの戦力外も覚悟していました。でも、そこで腐ってたら何も残らない。家族やファンも応援してくれている。その思いがあるからこそ来季は結果を残さないといけない。僕は野球が好きですし、ずっと野球を続けたいですから」(今川)
今川の本職は主に左翼だが、同ポジションはチーム随一の「激戦区」。今季は水谷を筆頭に浅間、五十幡らがレギュラーを争った。内野手の清宮、郡司、野村らもチーム事情で左翼守備に就くことを考慮すれば来季も同ポジションの争いはし烈極まりない。それでも今川は選手生命をかけて奪い取りに行く覚悟だという。
「自分自身で評価できる結果が出てもボス(新庄監督)の評価が高くなければ試合で使ってもらえない。だからまずは守備から入って打席を貰っていく。そこはもうこの3年間でわかったので。首脳陣もこの3年間ほぼ同じで、ここから(自身の)評価を一気に変えるのは難しいと思いますけど、それを承知の上でやるしかない」
今季ファーム暮らしの中で怠らなかったトレーニングのおかげで今春から胸板が10センチ以上も厚くなった今川。あとは結果を残すだけ。増強した肉体と共に来季に向けた27歳の戦いはもう始まっている。