全日本プロレスの3冠ヘビー級選手権(4日、ホテルエミシア札幌)は、デイビーボーイ・スミスJr.(39)が王者の青柳優馬(29)を破り、第74代王者に輝いた。
北の大地でサプライズが起こった。グラウンドでのじっくりとした攻防からスタートした一戦は、両雄のテクニックが交錯。執拗なヘッドロックで絡みつかれたスミスJr.は、岩石弾を発射し、王者を場外にエスケープさせる。
これで主導権を握り、腕と脚を次々と決める。エルボー合戦でも一歩も引かず、強烈なヘッドバットで王者を大の字に。さらにスリーパーで体力を奪いにかかった。
だが、10分過ぎにはエプロン上でネックブリーカードロップの餌食となり、場外マット上へのブレーンバスターでダメージを受ける。さらにダイビングエルボードロップからエンドゲーム(変型フロントネックロック)で大ピンチを迎えた。
それでもスミスJr.は決めさせず、トドメを狙うコーナートップの王者を捕らえ雪崩式ブレーンバスターで反撃。ダイビングギロチンドロップ、パワースラム、タイガースープレックスホールドを惜しみなく投入する。
20分過ぎには王者の丸め込み攻勢、ロックスターバスターを耐え抜き、強烈な岩石落としを発射。これをカウント1で返されると、さらに岩石落とし固めでたたみかける。最後はベルトを巻くポーズを決め、渾身のブルドッグボムで22分6秒の激闘を制した。
2020年度の米WWE名誉殿堂「ホール・オブ・フェイム」入りした故デイビーボーイ・スミスさんを父に持ち、おじは故ダイナマイト・キッドさんというサラブレッド。幼少期から全日本の映像を見て育ってきた。父もおじも巻いていない3冠ベルトを手にしたスミスJr.は、故ジャンボ鶴田さんの代名詞だった「オー!」の掛け声で観客と一緒に拳を突き上げた。
外国人選手の同王座戴冠は、2018年のジョー・ドーリング以来。「アイ・ラブ・ゼンニッポン!」と絶叫した新王者が、王道マットの新たなかじ取りを担う。
なお、優馬は昨年11月に中嶋勝彦戦に続き、2年連続札幌での3冠王座陥落となった。