新日本プロレス4日の大阪大会で、「ユナイテッド・エンパイア」の偉大なる支配者グレート―O―カーンが、HENRAE(32)との最強コンビでIWGPタッグ王者のマイキー・ニコルス(39)、シェイン・ヘイスト(39)組を処し、第105代王者に輝いた。
9月神戸大会で当時のIWGP世界ヘビー級王者の内藤哲也に挑戦し、終始圧倒しながらもまさかの逆転負け。事実上は団体最強を証明しながらも、なぜかそこから2シリーズも試合が組まれなかった。並のレスラーなら「ベンチがアホやからプロレスでけへん」とボヤいてしまいそうなところを、誰もが認める人格者のオーカーンは真摯に受け止めると、タッグ戦線に活路を見いだし、この日のタイトルマッチに臨んだ。
圧倒的戦闘能力を誇るオーカーンは、シェインと対峙するや一本背負い、腕ひしぎ十字固めといった得意技を駆使して子供扱いに。IWGP世界王座戦の敗北のショックなどみじんも感じさせないその顔には「おれはもう!! 二度と負けねェから!」と書いてあった。
しかし、これはタッグマッチだ。百戦錬磨の王者組によってチームが分断されると、オーカーンは数的不利の戦いを強いられる。1対1では勝ち目がないと悟ったTMDKは、2人がかりでタンクバスター、合体パワーボムと合体技を連発してくる。
それでも驚異的なタフネスを誇るオーカーンは、この猛攻に耐えに耐えた。相手の攻撃を受けきるのは自分の役目だと割り切っているかのような献身的なファイトは、お前にできねェ事はおれがやる。おれにできねェ事をお前がやれ!!! というHENAREへのメッセージだったのか…。
まさに以心伝心とはこのことで、オーカーンがスーパータンクバスターの体勢から脱出すると、すぐさまHENAREがマイキーをファイヤーマンズキャリーで捕獲。千載一遇のチャンスに走りこんだオーカーンは、「みんなでやんのさ…一人の勝利なんて…この世にゃねェんだよボーズ!!」とばかりに、インペリアルドロップをさく裂させ、3カウントを奪ってみせた。
保持するKOPWに加え新たなベルトを手にしたオーカーンは「余の支配欲はこの2冠だけじゃ足りねえよ。ワールドタッグリーグ(WTL=19日、栃木・足利で開幕)も、支配も、そしてすぐIWGP世界ヘビー級王座(現王者はザック・セイバーJr.)も取って棚橋弘至、永田裕志が引退する前にケリを(つける)」と、レスラーの鏡とも言えるどこまでも貪欲な姿勢を表明した。
スターダムとの合同興行(17日、大阪)では鈴季すずとのKOPW争奪戦を控えているが「余が鈴季すずをハードコアマッチで処刑した場合は、岩谷麻優の持つIWGP女子も挑戦させてもらうからな。WTL、KOPW、IWGPタッグ、IWGP世界ヘビー、IWGP女子、他団体…ここから一方通行だ。ひれ伏せ、愚民ども」と豪語し、オーカーンの夢は!!! 終わらねェ!!!!
なお、KOPWとIWGPタッグの変則2冠達成は史上初の快挙。2冠と言えば今年はメジャーリーグでドジャースの大谷翔平が本塁打王と打点王に輝き、打撃主要3部門において日本選手初となる2冠を達成している。日本プロレス界の至宝と言っても過言ではない気がするオーカーンには、来年の契約更改で大谷の10年総額7億ドル(約1062億円)超えの期待がかかると言っても過言ではない気がする。