日本ハムの一軍主力組が今月1日から本拠地で「指揮官不在」という異例の秋季キャンプを送っている。
通常、プロ野球の秋季キャンプと言えば指揮官を中心に首脳陣の目が光る中、若手を中心とした選手たちが猛練習に励むもの。選手側も首脳陣の視線を浴びながら来季に向け、積極的にアピールするのが一般的だろう。
ところが、今年の日本ハムの秋季キャンプは肝心の指揮官が初日から「アップデート中」により不在。現時点では今後も不参加の見通しだ。となれば、選手の中から「監督がいないのであれば…」と手を抜きたくなる選手が出てきても不思議ではないが、チームにその気配はない。
球団関係者も「むしろ選手たちは監督不在だからこそ緊張感を持ちながら日々の練習を着々とこなしている感じがする」というのだ。どういうことか。ある選手に聞くと「逆にボス(新庄監督)がいない方が怖いです」と苦笑いを浮かべ、その理由をこう漏らした。
「ボスはシーズン中でもオフでも常にチームの事を考えている人ですからね。球場にいなくてもどこかで必ず僕らの動きを見ているはず。そう考えると逆に『やらないと』という気持ちの方が強くなる。それに球場にいなくても今はボスから直接DM(ダイレクトメッセージ)とかも来ますし。他の選手もそう言っていましたから。気は抜けませんよ」
確かに新庄監督はチームを指揮する立場になった3年前から各選手の情報や動きに関し、ネットを中心に集めている。今秋キャンプ前にも指揮官は自身の最近の情報収集事情について、こう話していた。
「ここ数年は新聞記事とかは結構チェックしています。もちろん東スポもね。現役の時は自分からは読まなかったんですけど、今は(監督として)いろいろな選手の思いや状態を知っておかないといけませんから。だから記事は読んでます。僕の現役時代の東スポと言えばUFOとか宇宙人とかばっかりだったイメージが強いんですけど…今はだいぶ変わりましたよね(笑い)。だから選手の記事、頼みますね」
現場にいるよりもいないほうが選手や周辺に不気味な雰囲気を漂わせる新庄監督。そんな存在だけに指揮官不在のキャンプは選手にとって戦々恐々なのかもしれない。