韓国の文化体育観光部が5日、サッカー韓国代表の洪明甫(ホン・ミョンボ)監督の選考に際して不正があったと認定し、韓国サッカー協会(KFA)の鄭夢奎(チョン・モンギュ)会長など幹部に対して資格停止以上の厳罰を正式に要求した。
今回の問題は、洪監督の選考過程で違反があったとして大騒動に発展。韓国政府のもとにある行政機関「文化体育観光部」が調査に乗り出し、尹錫悦大統領まで「真相を明らかにし、現場の誤った慣行を正すことができる確実な改善案を用意せよ」と異例の通達を行った。
すると、事態は思わぬ方向に。こうした韓国政府の動きが、国際サッカー連盟(FIFA)が定める規則の第14条「第三者の干渉を受けてはならない」、第15条「いかなる政治的干渉からも独立しなければならない」などに抵触するとして、FIFAはKFAに対して警告を正式に発した。
これまで同様のケースではW杯予選の出場禁止処分が下されたこともあり、韓国代表が参加中の北中米W杯アジア最終予選を突破した場合には、本大会の出場権が〝はく奪〟される可能性も指摘されている。
そうした中で迎えたこの日、文化体育観光部は調査の結果を発表。韓国紙「デイリー韓国」など現地メディアが一斉に速報した。
チェ・ヒョンジュン監査官は「サッカー協会公正委員会の規定上、除名、解任、資格停止が公務員基準で重懲戒に該当すると見ている。これら3つのうちで選択すればよい」と厳罰を求めた。
そして「懲戒を〝勧告〟するのではなく〝要求〟する」とより強い命令に近い形だと強調。「規定上、文体部は懲戒を要求する権限があり、それに対する判断はサッカー協会の公正委が下すことになっている。協会が国民の目線、世論に合わせて望ましい判断をすることを期待する」とKFAに対して強い圧力をかけた。
だがKFA会長らへの厳罰要求は、FIFAが警告を発した規則に抵触する可能性大。報道陣からは、その点をただす質問が飛び出した。
しかしチェ監査官はFIFAからの警告について「FIFA規則に抵触するとは思わない。グッドガバナンス(支配構造)を成し遂げるための監査で、FIFAも理解していることと把握している」と強弁した。
韓国政府の異例とも言える強硬姿勢に、FIFAはどう出るのか。〝政治的介入〟と判断されれば、韓国代表の北中米W杯出場は〝一発アウト〟になりかねないが…。