追加招集されたGの左腕が堂々の〝侍デビュー〟を飾った。野球日本代表「侍ジャパン」が5日、宮崎合宿で広島との練習試合を行い、先発した井上温大投手(23=巨人)が3回を無安打無失点とパーフェクトに抑え、5奪三振の快投劇を披露。首脳陣に順調な仕上がりぶりを猛アピールした。
ケガで代表を辞退した日本ハム・伊藤の代替招集とは思えぬピッチングだ。キレのある直球とスライダー、フォークなど変化球も織り交ぜ、赤ヘル打線を翻弄。初回から三者凡退で好スタートを切ると、2回二死で末包から4者連続三振に斬って落とし、役目を果たした。
登板後、井上は「緊張したけど、試合になったらいつも通りの考えと感覚で投げられた。自分の持っている球種を全部投げて、それがある程度コントロールできていた。三振も何個か取れていたのですごくいい調整ができたなと思います」と笑顔で振り返った。
シーズン中のNPB球よりも滑りやすいとされる公式球にもかかわらず「いつもよりロジン(バック)を多くつけたり、もんだりした」と対応力の高さも発揮。「決めるべきところで、ちゃんと高さとコースに投げられていた。ピンチでも三振を取って、犠飛や内野ゴロを打たれないようにしたい」と手応えを口にする。
今季は巨人でシーズン途中から先発ローテに定着し、25試合に登板して8勝5敗、防御率2・76の成績を残して大ブレーク。4年ぶりのリーグ優勝に貢献した。この急成長株の左腕を、すでに井端監督は1次リーグ初戦となる13日のオーストラリア戦(バンテリン)での〝開幕投手〟に抜擢するほど信頼を寄せている。
指揮官は「初回とかは結構、手探りだったかなと思うが、それ以降は素晴らしかった。特に3イニング目はちょっと簡単に打てるボールじゃなかった。本番でも今日のようなピッチングをしてもらえればいいかなと思います」と目を細めた。
井上は「今年の最初だったら考えられないくらいの経験をさせてもらっているので、これからの野球人生に絶対つなげられるようにしたい」とうなずいた。