ソフトバンク・和田毅投手(43)が5日、現役引退を表明し、本拠地のみずほペイペイドームで会見を行った。プロ通算22年の現役に幕を閉じる日も涙はなく、終始晴れやかな表情で思いを語った。
突然の引退発表。「皆さんに知られないで、この日を迎えられてよかった」という言葉に本人の強い意思が表れていた。早い段階で思いを明かしたのは小久保監督、倉野投手コーチ、トレーナーの3人のみ。会見後の取材では「ファンの方にちゃんとした形で、公式発表として伝えることができた」と笑顔を見せた。
引退の2文字は以前から頭にあったという。5年前から肩の痛みと戦いながら投げ続けた。「ダメになったら辞めよう」。その思いでプレーを続け今年の7月に決断を下した。ヒザ、腰、内転筋の肉離れと体はボロボロになっていた。
思いを胸の内にしまっていたのには理由がある。「優勝したのはまぎれもなくチーム全員の力。そこに私情も挟んではいけないなと。『自分のために』という空気だけは絶対やってはいけない」とチーム優先の姿勢があった。
日米通算165勝のレジェンド。球団からはもちろん引退試合を提案されたが、左腕はそれを固辞。「真剣勝負22年間で奪ってきたアウトの中に、そのひとつのアウトを入れたくなかった」と〝最後のわがまま〟という言葉で信念を貫いた。
ファンに愛された背番号21。晴れやかな表情でユニホームを脱いだ。