写真の場面であなたならどうする? 何を切る? 下にある【答え】を読む前にまずは考えてみよう。
落とせない親番でタンヤオ赤1のテンパイ。しかし、上家も3副露でテンパイ濃厚だ。持ってきたのは2萬…。
【答え=4筒(ドラ)】第1打に中張牌である4筒、しかもドラ。オーラスでトップ目に立っていた鈴木優(P)の選択だ。配牌には字牌が7種、1枚ずつ。9萬も1枚持っており8種8牌という状況だが、この時の鈴木に欲しいのは役満ではなく逃げ切りトップだ。役牌を重ねてアガれば逃げ切りという選択もある中、ドラ4筒打ちからのスタートをなぜ決断したのか。
点数状況を見ると2着目・堀慎吾(サ)と3着目・佐々木寿人(格)との差はわずか1000点。2人は満貫ツモでも鈴木を逆転できず、跳満ツモが条件と厳しい状況だ。ならば2人は2着確保の戦いをしてくるだろうと、鈴木は考えた。
「手牌がイマイチだったので、自分でアガらなくても他家のアガリ決着でよいと考えました。頃合いをうかがって、いいタイミングで字牌を鳴かせ、親の連チャンなく、より早くより安全にゲームを終わらせることが命題の一局でした。しかし満貫の直撃は着順ダウンの状況でもあります。なので字牌はためてドラから切っていき、ドラをポンされた場合にはそこに対して厳しく打つので役牌は打たずに絞る。字牌をためつつ様子見の一打です」
初手から完全に他者にアガらせる選択を取ると、佐々木が混一色の仕掛けを見せた。「寿人選手には満貫さえ打たなければトップ。自身の手牌に2枚、河に1枚なのでダブ南混一色は否定されています。あとは役牌・混一色・赤に当たらない牌で一刻も早く差し込み。枚数的には北と東が同条件だったのですが、1巡目に切られている方が、その時には鳴けなかったけど、後から重なって当たりになる可能性が少し高いと踏んだこと、また親に対しても先に切りたかったこともあり東を切りました」。イメージ通りに佐々木に差し込んでゲームセット。シーズン初勝利の決め方は、実にクールだった。