トランプ次期大統領が再選したことにより、ロシアメディアが大喜びで取り上げている。同大統領は〝親プーチン〟的な姿勢を示してきたからだ。これでウクライナ情勢はロシア寄りの幕引きとなりそうで――。
ロシアメディアは6~7日、米大統領選挙を大々的に報じた。
国営テレビ番組「ソロヴィヨフ・ライブチャンネル」で、司会者のセルゲイ・カルナウホフ氏は「新しい時代が始まった。次に何が起こるか見てみよう」と述べた。また、国営テレビ番組「60ミニッツ」の放送では、ほぼすべてが選挙の話題に充てられ、ヴィレッジ・ピープルの「Y.M.C.A.」の曲に合わせてトランプ氏が踊る複数のビデオが放映された。
司会者オルガ・スカベエワ氏は満面の笑みでトランプ氏の「圧倒的な」勝利を発表し、「トランプ氏にはウクライナ戦争を終わらせるために24時間しかありません。ドナルド、時間は刻々と過ぎています。これはトランプ氏が約束したことです」と話した。
夜の番組「ザ・イブニング・ウィズ・ウラジミール・ソロヴィヨフ」で、司会者のウラジミール・ソロヴィヨフ氏は「トランプ氏はイーロン・マスク氏にウクライナのスターリンクへのアクセスを遮断させ、米国の援助と米軍情報部から提供されたデータへのアクセスを即時停止させることで、ウクライナのゼレンスキー大統領を〝脅迫〟して、自らが望む解決策に従わせるだろう」と予測した。
ロシア紙ロシア・トゥデーは「トランプ氏の勝利は洗脳されていないアメリカ人の勝利だ」と報じた。前回の政権時と今回の大統領選で、トランプ氏は親プーチン大統領的な姿勢を取ってきたからだ。
トランプ氏は選挙活動中、ウクライナ戦争について、自分の采配のもとで合意を実現することで「1日で終わらせることができる」と繰り返し発言した。その内容は具体的ではなかったが、ある程度推測できる。
前回のトランプ政権で国家安全保障会議(NSC)の幹部だった2人は今年、研究論文を発表し、「ウクライナはロシア占領下にある全領土回復をあきらめるべきではないものの、交渉は前線の状況に基づいて行うべきだ」と書いている。
米事情通は「トランプ氏は経済を立て直すことを公約し、当選しました。米国の資金流出を食い止めるため、戦争はぜひとも止めたいでしょう。トランプ氏は就任する前にプーチンと連絡を取ることは確実視されています。その際、経済制裁を止める見返りに、ウクライナとの和平交渉のテーブルに着くよう求めるといわれています。ゼレンスキー氏には、クリミア半島や東部ドンバス地域の回復をあきらめさせ、ロシアに引き渡すよう促すとみられます。ゼレンスキー氏は反発しますから、軍事支援をストップすると脅す可能性が高いです」と指摘する。
ロシア寄りの休戦内容が想定されるだけに、ロシアメディアはトランプ氏の再就任を喜んでいるようだ。