次なる主役へ駆け上がる――。フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第4戦NHK杯最終日(9日、東京・国立代々木競技場)のペアフリーは〝りくりゅう〟こと三浦璃来(22)、木原龍一組(32=ともに木下グループ)が137・55点、合計209・45点で2位。第1戦スケートアメリカに続く優勝は逃したものの、GPファイナル(12月、フランス)進出が確定した。
中盤のぺアスピンで氷に引っかかるアクシデントによって、1つの要素で得られる点数が当初の予定より大幅ダウン。三浦は「私たちが(ペアを)組んでから初めてだったので珍しい」と苦笑いを浮かべるも、ミスを引きずることはなかった。木原は「ペアスピンが1つ抜けてしまったのは『しょうがないかな』という気持ち。いい勉強になった」と前向きに振り返った。
かねて日本勢は男女シングルで高い実力を発揮してきた一方で、カップル競技では苦戦を強いられてきた。それでも、近年は〝りくりゅう〟が2022―23年シーズンに全種目を通じて日本史上勢初の同一シーズン主要大会全制覇となる「年間グランドスラム」を達成。大会最終日のこの日はチケットが全席完売になるなど、日本フィギュア界全体の底上げが強固な人気につながっている。
男女シングルは10年バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央、14年ソチ、18年平昌五輪金メダルの羽生結弦ら、各年代の国民的スターがフィギュア界を盛り上げてきた。そんな中で、あるマネジメント関係者は「今後のフィギュア界を引っ張るのは〝りくりゅう〟になるんじゃないかな。フィギュアファンだけじゃなくて誰もが知っているような存在になれると思う」と予想。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪で金メダルの可能性を秘めるカップル競技の〝りくりゅう〟に期待を寄せているのだ。
昨季は木原の腰椎分離症の影響で前半戦を欠場。GPファイナルは2季ぶりの出場となる。ペアは毎年のように勢力図が変わる戦国時代に突入しているが、木原は「常にトップにいるよりは、僕たちは追いかける立場の方が合っている。すばらしいライバルたちが下から出てきているので、追いつけるように頑張りたい」と気合十分。新しい時代を切り開くパイオニアとなれるか。