MLBのワールドシリーズ(WS)は大谷翔平投手(30)らを擁するドジャースが4年ぶりに優勝。1日(日本時間2日)には本拠地ロサンゼルスで盛大なパレードが開催され、約25万人のファンとともに喜びを分かち合った。
ドジャースに火をつけたのは、間違いなくWSのMVPに輝いたフレディー・フリーマン内野手(35)だった。10月25日(同26日)の第1戦。延長10回に1点を勝ち越されながら直後に二死満塁のチャンスで打席を迎え、右翼席へWS史上初となる劇的すぎるサヨナラ満塁本塁打を放ち、初戦をものにした。
ドジャー・スタジアムのファンは衝撃と歓喜に包まれ、大興奮のナインも本塁ベース付近でダイヤモンドを一周してくるフリーマンを待ち構えた。会心の一撃でフリーマンのボルテージもマックス。スキップしながらサヨナラのホームを踏み、その周囲をナインも飛び跳ねながら祝福した。しかし、そんな歓喜の輪の中で喜びながらも冷静さを失わず、ヒーローを気遣って諭したのがミゲル・ロハスだったという。
米スポーツポッドキャスト「ニュー・ハイツ」に出演したフリーマン自身がこう明かした。
「(本塁の)プレートに着くとミゲル・ロハスが僕にこう言ったんだ。『フレディ、ジャンプをやめろ。僕は君にケガしてほしくないんだ』と」
9月末に右足首を捻挫し、走塁もままならない時期もあったが、WSでは強行出場を続けた。WS後には肋骨を骨折していたことも明らかになった。そんな〝鉄人〟の足首の症状を悪化させないためにもロハスは自重を求めたわけだ。
しかし、仲間の〝忠告〟にもアドレナリン全開だったフリーマンは止まらなかった。三塁ベンチ前でのインタビューを終えると、バックネット方向に駆け出し、ジャンプしてフェンスに飛び乗ると観戦に訪れていた父とネット越しに喜び合った。
手負いの状態でもチームを頂点に導いたフリーマンにはファンや米メディアからも賛辞がやまないが、9日(同10日)の「AlBat」も「驚くべき肉体的、精神的な強さを見せた。身体的な不調を抱えながらも最高のプレーをできることは、彼の献身とプロ意識の証しだ」と絶賛。今後も語り継がれるWSとなりそうだ。