ロッテの佐々木朗希投手(23)のポスティングシステムでのメジャー挑戦を球団が認めたことを受け、全米に「ROKI SASAKI」旋風が吹き荒れており、FA市場では完全な主役だ。ほぼ全ての米メディアが大谷翔平投手(30)らが所属するドジャースを本命に挙げているが、大争奪戦も予想される。そんな中、今季一緒にプレーしたダラス・カイケル投手(36)が、ニューヨーク・ポスト紙が10日(日本時間11日)に掲載したインタビュー記事で佐々木を絶賛すると同時に、メジャー関係者の前では平均よりスピードがアップしていたと衝撃の事実を明かした。
カイケルはメジャー通算103勝の左腕で、アストロズ時代の2015年には20勝をマークし、サイ・ヤング賞に輝いている。今年7月15日にブルワーズの40人枠から外されて事実上の戦力外となり、同30日にロッテと契約。8試合で2勝4敗、防御率3.60だった。
同紙の電話取材でカイケルは佐々木を「とてつもなく素晴らしい。彼にできないことはない」と絶賛し、「彼は米国でとてもうまくやると思う」とメジャーでの活躍に太鼓判を押した。
注目される移籍先についてカイケルも「ドジャース最有力」という噂や報道を耳にしており、「もし私がラスベガス(のカジノ)にいたなら、間違いなく(ドジャースに)賭けるだろうが、私にはわからないし、私たちは本当にそういう話はしたことがない」。
ヤンキースとメッツも争奪戦に参加するとみられているが、「ドジャースが優勢なのは(大谷)ショウヘイ、山本、ダルビッシュが2017年のプレーオフに投げたからだ。ピンストライプ(ヤンキース)とメッツについて簡単に話はしたが、チームの主要なところは話さなかった」という。
カイケルは佐々木をどう見たか。MLBでは最低20から最高80の範囲で評価されるスカウティングスケールを使って評価した。
投球能力は「試合序盤で速球が安定せず、スライダーとスプリットでストライクを取るのを何度か見た」ことを振り返りつつ「70」と採点。
速球は「70を下回ることはない」とし、「93~94マイル(約150~151キロ)でも打ち取れる」と説明すると、こう指摘したという。
佐々木は見に来たMLBの関係者全員に「印象付けようとして」平均以上の(スピードの)速球を投げることが多かった。最速100マイル(約160.9キロ)以上を記録することが多かったとも。メジャー関係者の前では意識してギアを上げたということだ。
8回5安打無失点と好投し、チームが2―0で勝利した10月12日の日本ハムとのクライマックスシリーズファーストステージ第1戦はヤンキース、レイズなど10球団が視察に訪れていた。
スプリットは「65~70」で、「めったに打たれることがない」と解説。スライダーは「70」で、「スピードに変化を加えることができれば80になる可能性がある」と高評価を与えた。
感心したのは技術だけではない。「本来、私は厳しい評価をするのだが、彼は23歳なのでここでは寛大になる。私自身は24歳でメジャーデビューを果たしたが、足元を固めるのに2年はかかった。私は23歳の彼が、とてもいい打者を打ち取るのを見ている。彼が(メジャーで)活躍できると本当に思っている」と断言した。
性格などについては「知的で、情報収集に貪欲で、クラブハウスでもうまくやっていける」とし、英語の習得に取り組んでいることを明かした。「勝つことが大好きで、野球が大好きなんだと思う。それに彼は最高の自分になりたいと思っていて、そして史上最高の投手の一人になれると思っている、そう思う」。カイケルは佐々木の1年目からの活躍を確信している。