恩人を最高の形で送り出す。17日のノア愛知・ドルフィンズアリーナ大会で清宮海斗(28)のGHCヘビー級王座に挑戦する杉浦貴(54)が、強い決意を示した。
今回の王座戦は深い意味を持つ。かつて闇軍団「ダークエージェント」を結成するなど苦楽をともにした先輩、齋藤彰俊の引退記念大会メインで行われるからだ。杉浦は「いい試合をしてベルトを取る姿を見てもらって、ノアは大丈夫だと安心して引退してほしいですよ」と力を込める。
齋藤の人となりを「あんまり多くを語らないけど、いてくれると安心感があるというか。相当、苦しい思いもしたんだろうけど、そういうのを見せない精神的に強い人ですよ」という。そして「常に見守ってくれているのは感じてきました。だからこそ、恥ずかしい試合はできない」と誓った。
対角に立つ王者・清宮からは「自分の中では父親といえば杉浦さんです」と敬意を表されると同時に〝オヤジ超え〟を宣言された。
だが、杉浦は「リングに上がっている以上、俺は息子とは思わないですよ。なんなら王者として俺より上のステージにいるんで」と返答。その上で「今の清宮? 恐ろしいですよ。28歳であのレベルでやっているんだから。アイツの性格なのか、いろいろ意見されても気にせずやっているでしょ。技術も精神もすごいと思います。さすが俺の息子だよ」と感嘆した。本心なのかほめ殺しなのか…。ともあれ、すでに戦いは始まっているということなのだろう。
「俺はまだ時代をつくっていないヤングボーイ。これから俺の時代をつくらないといけないんだ。だからこそ息子超えを果たしたい」。11日新宿大会の前哨戦で激しくやりあった2人の〝親子ゲンカ〟は、ひと筋縄でいきそうにない。