阪神・藤川球児新監督(44)が師匠譲りの〝帝王学〟をチラリと見せた。高知・安芸で行われている秋季キャンプは11日に第2クールが終了。5勤1休という比較的ハードなスケジュールの中、体力と集中力も途切れがちになる頃合いだが、練習終了後の記者囲みを利用して若虎たちを引き締めた格好だ。
若き虎将は「きょうも各コーチ陣に伝えたのですが」と前置きした上で「次の最終クールに関しては、次の春季沖縄キャンプに向けた選手の一、二軍の選択につながってくる可能性もある。われわれが選手を見ることができるのは(年内では)あと5日間しかない。次は来年の1月。その頃にはキャンプのメンバーを決めなければならない」と語り、残り5日間となった秋季キャンプではよりシビアな目で選手たちを見極めると明言。来季へ向けたサバイバルレースのジャンを激しくたたき鳴らした。
メディアを効果的に使いながら選手たちにメッセージを送る方法は、この日までキャンプ地を視察のため訪れていた岡田前監督(現オーナー付顧問)の常とう手段。今クール中は、新旧虎指揮官がメイングラウンドのベンチ内やブルペンなどで長時間、ヒザを突き合わせながら話し合う姿もみられた。用兵論やチームマネジメント以外にも、報道量が多い西の老舗球団ではメディアの〝正しい使い方〟も必須スキル。師匠から学ぶべきことは山ほどある。
今キャンプ中の記者囲みでも「目に付いた選手は?」といった類いの質問がたびたび投げかけられているが、藤川監督は「甲子園にいる(主力)メンバーもいますしね。彼らのことも十分にリスペクトして発言しなきゃならないから」と慎重な姿勢を堅持。固有の選手名を挙げることは極力避けている。緊張感と競争意識を高めながら、選手個々のプライドや心情にも配慮する周到さは実に頼もしい。