ロシアのペスコフ大統領報道官は11日、プーチン大統領とトランプ次期米大統領がウクライナ紛争とその解決策の可能性について7日に電話会談したとの米紙ワシントン・ポストの報道について「まだ電話していない。これはまったくの虚偽であり、偽情報だ」と否定した。ロシアの通信社RIAノーボスチが報じた。何が起きているのか。
ワシントン・ポスト紙は10日、関係者の話として、トランプ氏がプーチン氏と電話会談したとされると報じた。ウクライナ紛争を激化させないよう呼びかけたとされる。
この報道に先んじて米メディア「アクシオス」は8日、情報筋の話として「トランプ氏はプーチン氏と電話会談し、ウクライナでの戦闘をエスカレートさせないよう警告した」と報じていた。また、電話にはイーロン・マスク氏も同席していたと詳細まで伝えた。さらに11日には、トランプ氏はプーチン氏に対し「私も武器を持っているので、エスカレートするな」と強く警告したと記した。
2つのメディアが独自に電話会談を報じたが、クレムリン側は完全否定した。一体どうなっているのか。
そもそもトランプ氏は選挙期間中、「大統領に当選すれば1日以内にウクライナ戦争を終わらせる解決策を見つけるだろう」と繰り返し述べていた。
ロシア事情通は「まだ大統領職ではないトランプ氏と話したことをクレムリンは公式に認めません。就任前では、まだプーチン氏とは格が違います。それなのにプーチン氏に対して『警告した』という報道は、ワシントン・ポストや官僚の希望的観測が入りすぎているとクレムリンはとらえ、否定しています」と指摘する。
その上で、強く否定したのは2つ理由があるという。「プーチン氏は近々、北朝鮮兵と共にウクライナに強い攻撃を仕掛けるところだったのに、『1日以内に終わらせる』なんて言う相手と会談したとなれば、前線の兵士の士気に影響します。だから否定したのでしょう。トランプ氏はロシアとウクライナの和平交渉が実現した際、ロシアが奪ったクリミア半島などのウクライナ領土は返還しなくていいというスタンス。それまでに奪えるだけ奪うつもりでしょうから、電話があってもなかったことにしてるんです」(同)
そして、「情報を漏らすヤツらをだまらせろというプーチン氏からの圧力でしょう。トランプ氏が〝親プーチン〟になるならば、まず米国内の官僚とメディアをコントロールせよということです。それができない〝弱い交渉者〟は大統領就任後であっても相手にしないというサインです」と同事情通は指摘している。