【宮崎祐樹連載 オリのゴリBsを知り過ぎた男(12)】ついに迎えた
2010年ドラフト当日です。とはいっても、指名されるかなというドキドキやワクワク感は全くありませんでした。
プロのスカウトの方々が見に来られてはいましたが、明確に何位で指名するよというようなことは全く言われていませんでした。あくまでドラフトにかけるかもしれませんよという程度のニュアンスです。
僕は「ドラフトなんてかかるわけないから」と言って、後輩の赤堀大智(後にDeNA入り)とパチンコを打ちに行ってました。ドキドキしていた気を紛らわせるとか、いいカッコをしたいわけでもありません。本当にドラフトで指名されるなんて思ってもみませんでした。
現実として4球団から調査書が届いてはいました。中日、ソフトバンク、日本ハム、オリックスだったと思います。でも、もしかしたら指名するかもしれませんという程度のお話でした。指名があるなら5、6位くらいの想定だったんだと思います。
ドラフトって流動的なところもありますからね。大学生でドラフト3位くらいまでにいい外野手を獲得することができれば、僕は必要ないわけです。結果として指名から漏れることだって十分に可能性はあったと思います。
僕自身はおぼろげにソフトバンクなら地元の佐賀に近くていいなあと想像してみたりもしました。でも、当時のホークスは両リーグで首位打者を経験している内川聖一さんや、シーズン198安打したこともある長谷川勇也さんがいたので、絶対に無理。セガサミーの佐々木監督にも「あそこだけは行っても無理」と言われていました。
ドラフト全体としては「ハンカチ王子」こと早大・斎藤佑樹投手が注目選手でした。こここにドラフト1位で4球団が競合し抽選で日本ハムに交渉権が渡りました。同じ早大からは1位で6球団競合指名の大石達也投手もいました。こちらは渡辺久信監督率いる西武が交渉権を獲得です。
こんな調子でしたから、おそらく5位とか6位で指名されるとするならば結構、遅くになるんだろうなという読みもありました。ただ、本当にドラフトにかかると思ってないというのが本音の部分ですから期待もせず、パチンコに興じていました。
すると、セガサミーのマネジャーから携帯電話に着信が入ります。何度も何度も電話がかかってくるので出ると「何してるんだよ? どこにいるの? ドラフトかかったんだよ。オリックスの3位だよ」と慌てた様子です。僕は「またまた、からかわないでくださいよ。はい、ウソでしょ」と取り合いませんでした。
でも、それは現実でした。オリックスは大石を抽選で外し伊志嶺翔大、山田哲人とことごとくクジ運に恵まれず、外れ外れ外れ1位で後藤駿太(前橋商、オリックス~中日)を指名するに至りました。想定外の抽選外しで僕が繰り上がってしまったのかもしれません。想定よりも早い時間帯に指名の一報を受け戸惑いましたね。
思わぬ上位指名でオリックスに交渉権が渡ることになりました。担当スカウトは牧田勝吾さんと佐竹学さん。佐竹さんには、僕が入団した11年から外野守備走塁コーチとして指導していただくことになりました。