新大関の課題とは? 大相撲九州場所4日目(13日、福岡国際センター)、大関大の里(24=二所ノ関)が幕内阿炎(30=錣山)のすくい投げに屈して土がついた。今場所は新大関Vが期待されるなか、序盤の取りこぼしで賜杯レースの先頭から一歩後退。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(40=本紙評論家)は〝大関初黒星〟となった一番を分析した上で、今後に向けた改善点を指摘した。
新大関が序盤で格下に不覚を取った。大の里は阿炎のノド輪に大きくのけぞると、強引に前に出たところで右差しを許した。最後は相手のすくい投げにゴロリと1回転。そのまま土俵下まで転落し、ぼうぜんとした表情を浮かべた。取組後の支度部屋では「また明日から切り替えて頑張ります。一番一番、集中するだけ」と自らに言い聞かせるように言葉を絞り出した。
秀ノ山親方は、この日の新大関の相撲内容について「先場所も負けている相手に苦手意識を持っている印象。阿炎がもろ手で突き起こしてくる残像が、脳の中に残っていたのでは。本来であれば、もっと下から攻めて相手との距離を詰めたいところ。勝つイメージが持てないまま立ってしまった結果、前回と同じような形で突き起こされてしまった」と分析する。
大の里は秋場所で2度目の優勝を果たした一方で、千秋楽は阿炎に敗れている。この時は大の里が14日目に優勝を決めていたとはいえ、今回も同じ相手に同じような展開で連敗。横綱を目指していく上では、決して好ましいことではない。阿炎は三役の常連で優勝経験もある実力者だけに、今後も毎場所のように顔を合わせる可能性が高いからだ。
秀ノ山親方も「大関になると、下の番付の力士は今まで以上に目の色を変えて立ち向かってくるし、あらゆる手を使って倒しにくる。これからさらに上を目指していくのであれば、苦手意識のある相手をつくらないこと。そのためには、負けた力士と稽古場で胸を合わせて、相手の心を折るような稽古をしていかないといけない」と指摘した。
いずれにせよ、大の里が優勝争いに踏みとどまるためには、前半でこれ以上の取りこぼしは避けたいところ。秀ノ山親方は「この日は相手を警戒しすぎたことで、隙が生まれた。この負けを引きずらず、もっと自分の力に自信を持って勝負に臨んでほしい」と立て直しに向けてエールを送った。