FAの目玉を〝総獲り〟へ――。13年ぶりとなる日本一奪回に燃える巨人がオフの主役となりそうだ。NPBは14日にFA宣言した9選手を公示。巨人はソフトバンク・甲斐拓也捕手(32)と阪神・大山悠輔内野手(29)の〝FAツートップ〟に加え、年俸がCランクとみられる石川柊太投手(32=ソフトバンク)の獲得にも前向きだ。大型補強に打って出られる背景には潤沢な資金があるという。
この日、ZOZOマリンで行われた「12球団合同トライアウト」をスタンドから視察した吉村禎章編成本部長(61)は、FAに関して「俺は全然、まったく知りません」とケムに巻いた。
それでも今季終了後、阿部監督が「チームの課題は明確に出た。そこを補強だったり新戦力でチーム編成していければ」と振り返ったように、チーム強化へあらゆる手を打つ。国内でトップクラスの資金力を誇るソフトバンクと阪神に対し、真っ向勝負を仕掛ける構えだ。
甲斐と大山、さらに海外FAでメジャーに移籍を目指す菅野智之投手(35)の〝穴埋め〟として、石川の動向も注視していく。ネックの一つとなるのは条件面だが、巨人関係者は「ウチには数年分の補強資金がある」と胸を張る。
FA補強は2020年オフの梶谷、井納が最後。その間、外国人補強や21年途中の山口(引退)、中田(現中日)らの加入はあったものの、大型補強の機会はなかった。
さらに、フロント内には指揮官就任1年目の阿部監督の船出を十分に支えられなかった反省もあるという。昨オフはウォーカーをトレードでソフトバンクに放出し、複数年契約を結んでいた中田がオプトアウトを行使して中日に移籍。しかも2億円で獲得した新助っ人のオドーアは開幕直前に電撃退団…。今季途中に加入したヘルナンデスは5000万円、モンテスも3000万円で〝補充〟の域を超えるものではなかった。
加えて資金面で大きいのが菅野の海外FAだ。今季は投手2冠に輝く活躍で、来季も在籍するとなれば4億円からの大幅昇給が確実視されていた。しかし、メジャー挑戦によって丸々浮く格好となり、2億円の梶谷も今季限りで引退。リーグ優勝に伴う〝ご祝儀〟も野手に関しては昨季よりも軒並み成績が下がっており、大盤振る舞いは不要だという。
トドメは〝臨時収入〟だ。東京ドームの入場料や放映権料、飲食費を含め、1試合あたりの利益が3億円とも言われるCSファイナルステージを最長の6試合戦った。惜しくもDeNAに敗れたものの、補強にとってプラス要素となる。
もちろん入団交渉は金額がすべてではない。相手が望む環境をどれだけ整えられるかも重要になってくる。巨人がたまった補強資金を一気に開放できるかどうかは、今後の交渉にかかってきそうだ。