西武が原点回帰でチーム再建を目指す。キーワードは「高卒」と「生え抜きの主力育成」だ。
今季は49勝91敗3分けという歴史的な低迷でシーズンを終えた。編成トップだった渡辺久信GM兼監督代行(59)、松井稼頭央監督(49)が球団を去り、指揮官と一蓮托生だった平石洋介ヘッド兼打撃戦略コーチ(44)も続いた。西口文也新監督(52)のもとで再建に乗り出すが、外国人選手を含むオフの補強は不透明で最大の課題であるクリーンアップの形は見えてこない。
一方、ドラフトでは支配下7人、育成7人の大量14人を指名したが、即戦力候補は2位指名した渡部聖弥外野手(22=大商大)のみ。4位の林冠臣外野手(21=日経大)、7位・古賀輝希内野手(24=千曲川硬式野球クラブ)は「課題をつぶすための育成期間が必要」(球団関係者)という。当面の間は渡部健人内野手(25)や村田怜音内野手(23)の覚醒を待ちながら、助っ人に頼る状況となりそうだ。
そんな今年のドラフトで象徴的だったのは、1位の大型遊撃手・斉藤大翔内野手(17=金沢高)を筆頭に、指名した14人のうち9人が将来性を見込んだ高校生だったことだ(支配下4人、育成5人)。
球団OBは「かつては渡辺久、工藤、清原、秋山、伊東に始まり鈴木健、松井、小関、松坂。そして中島、中村、栗山、菊池、森とチームが強かった時代には常に高卒で生え抜きの中心選手がいた。今ほどFAがチーム編成に影響を与える時代ではなかったが、やはりいい素材の高卒選手を投打の軸に育て上げれば長く安定的に活躍してもらえる。チームづくりの理想形」と断言する。
3年後や5年後を見据えた常勝軍団の再構築。中長期的な視野で、まずは土台を固めていく。