トップユーチューバーのヒカキンやはじめしゃちょー、東海オンエアを抱える大手ユーチューバー事務所「UUUM」が14日、親会社「フリークアウト・ホールディングス」による株式公開買い付け(TOB)に賛同する意向を明らかにした。
将来的に同社はフリークアウト社の完全子会社となり、東証グロース市場から上場廃止となる見込み。TOB価格は1株532円で、UUUMも株主に対して応募を推奨している。
業界関係者によると「ユーチューブ業界が過渡期にきており、収益性の低いショート動画が主流となっている。UUUMも例外ではなく、厳しい経営が続いていた」という。
とはいえ、投資家たちの間で上場廃止はサプライズではなかった。昨年8月にフリークアウト社に身売りを発表した時点で「この展開は予想できた」(UUUM株ホルダー)。当時のTOB価格は727円で、前日終値に対し0・7%の上乗せ幅(プレミアム)をつけたが「通常、プレミアムは30%前後つけるもの。えらい安く買い叩かれたな、という印象だった」(同)という。
UUUMは17年8月に東証マザーズ市場(現グロース市場)に上場。創業メンバーのヒカキンは大株主だ。今年5月時点で、ヒカキンは全体の2・29%に当たる45万4770株を保有している。
UUUM株の最高値は19年2月17日につけた1株6870円。それがいまや1株532円、12分の1の価格で「引き取ります」というのだから、ある種の切なさを禁じ得ない。
計算すると、ヒカキンの保有株はピーク時に約31億円の評価額。それが現在は2億4200万円あまり。投資に結果論は不毛だが、ヒカキンは約28億円〝儲け損ねた〟ということになる。
「株価がグングン上がっている時も、ヒカキンは『売らない』と明言していました。きっとおカネの問題ではないのでしょう。庶民からしたら、うらましい限りですが…」と中堅ユーチューバー事務所幹部。
上場廃止となっても、ヒカキンの〝UUUM愛〟は不変なようだ。