絹の成分・セリシンから生成されたピュアセリシン。そのスキンケア用品の選び方・使い方と、最新の医療分野での活用情報について取材した。
【中高年向きの保湿効果、香りが強くないのも好評】
総合繊維メーカーのセーレン(福井市)が開発したピュアセリシン配合のスキンケア用品では、最近は女性向け化粧品だけでなく男性向け商品も伸びている。
「最近は中高年男性にも『身だしなみに気を使わなきゃ』という意識が浸透してきています。特にメンズにも好評の『ウォータージェル』『飲むセリシン』『薬用バスミルク』などが売れ行き好調です」と説明するのは同社コモエース化粧品販売課の新家知子氏だ。
「ウォータージェル」は洗顔後に使う保湿ジェルで季節限定商品である。保湿してくれるがベタつかず涼感があるので、スポーツなどで日焼けした後にもいい。
「飲むセリシン」はピュアセリシンを凝縮した粒状の健康サポートサプリ。セリシンには生活習慣病を予防するほか腸内環境を改善して老化防止に役立つことが期待されている。
「薬用バスミルク」は保湿効果のある入浴剤で、乾燥からくるかゆみや湿疹などにいい。
「PRになってしまいますが、ピュアセリシン製品はニオイや香りがきつくないのでリラックス効果が高まると好評です」(前出・新家氏)
確かに、オーガニックをうたうスキンケア製品などの中にはアロマオイルなどの香りや色素が強いと感じるものも多い。
また大気汚染対策でも注目されている。ピュアセリシンが肌に潤いを与えることでPM2・5などの汚染物質の付着を抑える機能も発見されているからだ。
【iPS細胞保存、臓器培養保存など最新医療分野でも期待】
興味深いのは、スキンケア用品だけでなく医療分野でもピュアセリシンに期待が寄せられていることだ。
iPS細胞の凍結保存での活用も期待されている。ピュアセリシン配合の凍結保存液は、従来の凍結液より凍結までの時間が長くてもiPS細胞の生存率が10倍以上高い。このためiPS細胞を安定的に保存することができる。
また糖尿病の治療に使われる膵島(すいとう)培養の添加剤としても注目されている。通常は牛の血清を添加するが、代わりにピュアセリシンを用いても血清同様に培養でき、移植結果も良好とされている。
さらにピュアセリシンには細胞の増殖を促進し、細胞死を抑制する働きもある。このため、抗体を作る際の細胞培養の効率を向上させることが期待されている。
検査薬の機能を維持するピュアセリシンの効果も注目される。検査薬に含まれる酵素や抗体は保存により機能を失うことがある。だが、ピュアセリシンは酵素や抗体を安定化する働きがあり、診断薬の分野で利用が進められている。
今後ピュアセリシンは絹由来の保湿効果をスキンケアにとどまらず、さらに新しい機能性へと広げていくことが期待されている。