侍ジャパンが18日の「プレミア12」ドミニカ共和国戦(台湾・天母球場)に11―3で快勝し、オープニングラウンドを5戦全勝で終えた。21日から東京ドームで行われるスーパーラウンド進出を決めた一方、当地で行われたグループBでは不測の事態が続発。大会主催者である「WBSC(世界野球ソフトボール連盟)」に対して各代表チームからさまざまな声が出ていた。
風雨にさらされながらも勝ち切った。2―2で迎えた5回に栗原(ソフトバンク)の勝ち越し適時打などから3点を挙げると、その後も得点を量産。全勝でオープニングラウンドを終え、井端弘和監督(49)は「まずは最低限、次のラウンドに行く目標で来たが、結果的に最高の形で終えられてよかった」と安堵の表情を浮かべた。
日本の戦績と反して、オープニングラウンドはドタバタ続きだった。韓国メディア「スポーツエン」は、初戦を前にした公式会見で韓国語の通訳が不在だったことなどを挙げ「海外のお客さまを招いて行う国際大会の基本すら守らない」と台湾側の運営を痛烈に批判。現地の台湾メディアの記者も「韓国側の言いたいことはよく分かりますし、みんなが快く取材できる環境が大事だと思います」と恐縮しきりだったが、日本球界関係者は「台湾側だけが悪いわけでは決してない」と力強く台湾を擁護した。
「大会主催者であるWBSCが台湾に運営を丸投げしていた事実は否めない。そもそもWBSCの気質が良く言えばマイペース、悪く言えばルーズで、以前から各国が振り回されていますから」
今大会でもその「ルーズ」ぶりは発揮された。台湾に台風が接近した影響で屋外球場での試合の開催可否について開幕前から注目を浴びる形となったが、悪天候時の日程調整などについてWBSC側からの公式発表は最後まで皆無。台北ドームでのダブルヘッダー説や順延説、打ち切り説など情報は錯綜し各代表チームが混乱に陥った。
参加チームの中からは「普通だったら不測の事態を想定して予備日を設けるなり、あらかじめ明確な規定を定めるべき。実際に台風が直撃していたらどうするつもりだったのか」と疑問の声も出ていた。
確かに例年通りであれば台湾は11月の降水量が少ないため雨天時のケースを想定していなかった可能性は高いが、前出の台湾メディアの記者は「今年は台風が多い年。ある程度想定するべき事案ではあったかもしれない」と明かした。
最終的に全試合を消化できたものの17、18日に天母球場で行われた2試合は横殴りの強い雨がたたき付ける劣悪なコンディションだった。特に17日のキューバ戦は、両チーム合わせて17四死球と投手陣が明らかな制球難に見舞われる事態となった。
約1年前に同じく台湾で行われたU―18大会では、日本代表が負傷した選手の経過報告をWBSCから求められて応じていたが、大会開催期間中にもかかわらずWBSC側は「事務所が休みだから」という理由で一切返答せず。数日が経過した後に何の説明もなく「該当選手の出場不可」と通達され、日本サイドは強い不信感を示していた。
まだまだ新興組織のWBSC。参加チームが16に増える3年後の第4回大会では、今回の反省を生かして運営が改善されるのか――。