パ・リーグで歴史的な最下位に沈んだ西武が補強戦線でも沈黙している。
ペナントを制したソフトバンクとは42ゲーム差をつけられ、背負った借金は「42」。屈辱的なシーズンからの逆襲を期す来季に向けて宮崎・南郷、埼玉・所沢の2か所に分かれて行われた秋季キャンプも18日で打ち上げられた。
戦力の底上げや強化を図った一方、ソフトバンク・甲斐、阪神・大山、原口らがFA選手として公示され、15日から交渉が可能となっている。ただ、潮崎哲也スカウトディレクター(55)は「当初考えてたところはあったんですけど、動きはありません。あとは外国人です」と早くもFA戦線への不参加を表明した。チーム打率2割1分2厘、350得点はいずれも12球団ワーストで60本塁打も11位。補強ポイントである打線の強化に今のところ計算できる上積みはない。
今季は中軸を期待されていたアギラー(出場30試合で打率2割4厘、2本塁打、10打点)、コルデロ(出場23試合で打率1割2分9厘、1本塁打、4打点)と左右の長距離砲候補がいずれも鳴かず飛ばず。足首の故障や日本野球への適応不良で早々と離脱し、打線は序盤から低空飛行を余儀なくされた。
3番に起用された野手はのべ13人、4番は10人、5番が16人。クリーンアップを全く固定できず、軸もない打線は優勝したホークスと比較しても遜色ない強力な先発投手陣を苦しめた。チーム内にいる同型タイプの野手を集めるしかなかったトレードも起爆剤とはならず、西武が求める長距離砲、4番打者は現状で見当たらない。
来季が5年目となる渡部健人内野手(25)、2年目の村田怜音内野手(23)の覚醒を待ちながら、即戦力候補のドラフト2位・渡部聖弥外野手(22=大商大)に淡い期待を抱き、ここ数年でほぼ当たりがなかった外国人補強に命運を託すしかないライオンズ。現状で西口新政権への〝ご祝儀補強〟は鳥越裕介ヘッドコーチ(53)、仁志敏久氏野手チーフ打撃コーチ(53)、立花義家打撃コーチ(65)、大引啓次内野守備・走塁コーチ(40)ら外部招へいされた5人のコーチを超える話題もなく寂しい船出となっている。