警視庁は１９日、フィリピンを拠点に活動する犯罪グループ「ＪＰドラゴン」の幹部・小山智広容疑者（５０）ら男３人を特殊詐欺に絡む窃盗容疑でフィリピンから移送中の航空機内で逮捕した。そのうちの１人、永浦大輝容疑者（２６）は広域強盗の「ルフィ」を名乗るグループのメンバーとみられている。
３人はフィリピンから日本に特殊詐欺の電話をかけた疑いで逮捕状が出ており、日本側が引き渡しを求めていた。成田空港に到着した３人は、パーカのフードを深くかぶり、その表情をうかがうことはできなかった。
小山容疑者はＪＰドラゴンのナンバー３に君臨する幹部とみられている。ルフィグループの指示役・今村磨人被告が留置施設にいる際に弁護士を通じ、ビデオ通話で会話したことが確認されている。会話の中で「面倒は見るから事件について話すな」と口止めしたと言われている。警視庁は２つのグループの接点を含め、全容解明を進める方針だ。
ＪＰドラゴンは、日本の元暴力団員や半グレなどがフィリピンでつくった組織。ルフィグループは闇バイトで募集してきた２０代の若者を暴力という恐怖で従わせてきた。一方のＪＰドラゴンは「元ヤクザなどで構成され、メンバーも４０～５０代と年齢層が高く組織力がある」（犯罪に詳しいジャーナリスト）。
ルフィグループとＪＰドラゴン。２つのグループはどこで接点を持ったのか。「ルフィグループがフィリピン警察から摘発された際に逃亡の手助けをしたことで、ルフィグループを傘下に入れました。ルフィグループの幹部たちが日本に強制送還された後は、残ったメンバーを取り仕切っていたようです」（同）
ルフィグループでかけ子として月に３０００万円を詐取し、幹部の寵愛を受けていた山田李沙受刑者は、２月の公判で重要な証言をしている。「ＪＰドラゴンのメンバーに会ったことがあります。今後の（幹部らの）裁判で求められたらお話しします」
広域強盗の黒幕が明らかになるか。