米俳優デンゼル・ワシントン(69)は米誌「エスクァイア」最新号のインタビューで、2000年に米アカデミー賞主演男優賞を逃して以来、アカデミー会員として同賞への投票を一切やめてしまったことを告白した。
ワシントンは同年、1966年に米ニュージャジー州で起きた黒人差別による冤罪事件(ルービン・カーター事件)を題材にした、ノーマン・ジュイソン監督の力作「ザ・ハリケーン」で熱演が絶賛され、同賞主演男優賞にノミネートされた。だが、受賞したのは「アメリカン・ビューティー」のケビン・スペイシーだった。
アカデミー賞の前哨戦と言われるゴールデングローブ賞でワシントンは主演男優賞を受賞したものの、オスカーを逃したことが「今も忘れられない苦い思い出として残っている」とエスクァイア誌に打ち明けた。
同賞授賞式では、「ケビン・スペイシーの名前が呼ばれた瞬間、振り返って彼を見た記憶がある。彼の周りの人以外、誰も(スタンディングオベーションで)立っていなかった。かわりに、他の人たちは私を見ていた…たぶん、みんなが私を見ているように感じたのかもしれない」と当時の胸中を明かし、「その夜は家に帰って酒を飲んだ。飲まなきゃいられなかった」と続けた。
それをきっかけに同賞に投票しなくなったという。米アカデミー賞は米国の映画産業従事者の団体と映画芸術科学アカデミー(AMPAS)の会員による無記名投票で各賞の受賞者が決まる。
ワシントンは1990年、南北戦争に実在した米国初の黒人部隊を描いた映画「グローリー」で助演男優賞を受賞し、初のオスカーを獲得。2002年には犯罪スリラー「トレーニングデイ」で主演男優賞も受賞し、シドニー・ポワチエに続き、この部門で受賞した2人目のアフリカ系米国人となった。