絶好調だ。大相撲九州場所11日目(20日、福岡国際センター)、三役経験者の幕内隆の勝(30=常盤山)が新大関大の里(二所ノ関)を破って10勝目を挙げた。立ち合いで左に動いた隆の勝は、右のど輪で大の里の上体を起こして押し出した。
取組後は「押し込まれないことを意識して相撲を取った。右を刺されて一気に持っていかれるのが嫌だったので、あの右だけは封じようと思って左にずれた。のど輪はやろうと思っていたし、のど輪を使って中に入れたので良かった」と充実した表情を浮かべた。
相手の大の里は、9月の秋場所で2度目の優勝後に大関昇進。この日の〝看板力士〟との取組では、2人に向けて観客席から大きな歓声が飛んだ。隆の勝は「幕内の下(の番付)で取っている時よりも声援が大きかったし、より気合が入った。あの歓声にのまれないように、なんとかマイペースを保てた」と納得の表情を見せた。
名古屋場所では12勝を挙げたが、横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)との優勝決定戦で敗れた。念願の初優勝を目指す中、11日目終了時点で大関の豊昇龍(立浪)、琴桜(佐渡ヶ嶽)と1敗で並んで首位を走る。隆の勝は「トップタイ? 感覚はないし、実感もない。一日一番しっかりやっていきたい」と気を引き締めた。
勝負の終盤戦へ、12日目は元大関の関脇霧島(音羽山)との一番。番付上位との連戦が見込まれる中、隆の勝は勢いを保てるか。