新日本プロレスの「ワールドタッグリーグ(WTL)」Bブロック公式戦(23日、藤沢)で、偉大なるIWGPタッグ王者グレート―O―カーン、HENARE(32)組が棚橋弘至(48)、邪道(56)組から歴史的大勝で初白星を飾った。
4日の大阪大会でベルトを取ったばかりにもかかわらず、史上最強のIWGPタッグ王者との呼び声が高いオーカーン組は、今大会における優勝候補大本命中の大本命。出場する時点で優勝は決まったようなもので、一部では今年のWTLは早くも準優勝チーム探しのリーグ戦だとささやかれている。
その上、オーカーン個人としてはKOPWのタイトルまで保持している。強く、優しく、カッコいい支配者の会場人気が高まるのはもはや必然。試合開始直後に起きたエース権社長・棚橋とのコール合戦では、やはり「オーカーン」コールが圧倒的に上回った。
文字通りプロレス界のエースというポジションのバトンタッチが完遂された歴史的瞬間で、11月23日は「勤労感謝の日」から「令和の大エース・オーカーン爆誕記念日」になったと言っても過言ではない気がする。
もちろん人気だけではなく、オーカーンはリング上の実力でも棚橋を凌駕する。傑出したレスリングテクニックで次々と押さえ込むと、パンケーキホールドも披露。2022年3月に神奈川県内の駅構内で泥酔した男性から女児を救出し「怖かったよな、パンケーキ食うか?」と超絶イケボでケアしてあげた感動エピソードが、つい昨日のことのように藤沢市民の心に鮮明によみがえった。
それでいてパートナー・HENAREのことも立ててあげる器量があるのだから、もはやオーカーンは聖人の域にいるのかもしれない。HENAREが邪道をアルティマ(フルネルソン)で締め上げると、オーカーンはカットに入ろうとした棚橋を大空スバル式羊殺しで捕獲。HENAREの勝利をアシストし、チームとしての完成度の高さを改めて証明した。
試合後は珍しくノーコメントで会場を後にしたが、これもまた勝利を収めたHENAREにこの日の主役を譲るという心憎いばかりの気配りに違いない。また口で語らずともオーカーンクラスの男…いや漢ともなれば、背中で語るダンディズムも十二分に備わっているということもゆめゆめ忘れてはならない。
リーグ初戦(21日、船橋)では天変地異に次ぐ天変地異級の不運が重なり、タイチ&TAKAみちのくに黒星を喫してしまったが、この日の圧勝で帳消しになったどころか、事実上は2連勝に等しいと言えなくもない。
誰もが認める最強コンビのWTL制覇は確実で、今後対戦予定のチームは潔く不戦敗を申し入れた方が身のためと言っても過言ではない気がする。