高血圧の中には、血圧の薬ではコントロールできず、根本にある病気を治療しないといけないケースもあるという。いったいどのような病気が関係してくるのか、循環器専門医の高橋通先生に教えてもらおう。
――高血圧は原因によって大きく2つに分けられると聞きました
高橋医師(以下、高橋)本態性高血圧と二次性高血圧のことですね。本態性高血圧は、加齢や生活習慣などの影響で高血圧になり、具体的な原因が特定できない高血圧です。生活習慣の改善や降圧剤でコントロールしていきます。そして、二次性高血圧とは、原因となる病気や要因を特定することができ、血圧を下げるためにはその原因にアプローチしないといけないのです。
――どのような病気や要因が関連してきますか
高橋 原発性アルドステロン症など、副腎から出るホルモン分泌の異常による病気。血圧の調節に大きく関わる腎臓自体の機能の低下や、腎臓の血管が狭まるなど異常がある場合。ほか、甲状腺から分泌されるホルモン値に異常があるケースや、睡眠時無呼吸症候群なども関係しますし、服用している薬が影響していることもあります。
――二次性高血圧ならではの症状はない?
高橋 原因疾患によっては、特徴的な症状が出るケースもありますが、基本的には“二次性高血圧であるかどうか”を症状から判断することは難しいです。判断するためにやるべきことは血液検査や丁寧な問診ですね。睡眠時無呼吸症候群や服用している薬が原因ではないか、ということを確認するためにも、いびきや昼間の眠気など普段の日常生活における情報は重要なヒントになります。
――健康診断の血液検査では分からないものですか?
高橋 二次性高血圧の原因疾患を特定するためには、みなさんが毎年行っている健康診断では入っていない検査項目を確認しなければいけません。その血液検査の結果を受けて疑わしい箇所の画像検査(CT、MRI、超音波検査)などを行い、疾患を特定していきます。
――高血圧=本態性高血圧のイメージでした!
高橋 高血圧患者の10%以上が二次性高血圧だと言われています。二次性高血圧を見逃されている方もいらっしゃる可能性はあります。二次性高血圧の場合、原因となる病気の治療を行わないと治療がうまく進まないこともある。重症の高血圧や急な高血圧発症、若いのに高血圧がある方は特に、二次性高血圧ではないかを調べ、その可能性を除外した上で高血圧の治療に臨むのが理想的です。
☆たかはし・とおる 日本循環器学会循環器専門医。1994年に筑波大学医学専門学群卒業。2008年東京大学大学院医学系研究科修了。現在、東京国際クリニックの院長を務める。「循環器専門医だから知っている! 40歳からの正しい予防医学」(ダイヤモンド社)著者。