騒動もどこ吹く風か。米プロバスケットボールNBAレイカーズの八村塁(26)は23日(日本時間24日)のナゲッツ戦で5試合ぶりに先発出場し、チームは102―127で大敗。試合後に日本協会の方針に改めて不満を表明した。13日(同14日)のグリズリーズ戦後にも「日本代表はお金の目的があるような気がする」と胸中を吐露したばかり。バスケファンを中心に波紋が広がっている中、八村本人は大きなダメージを受けず、むしろプラスの効果を指摘する声さえ上がっている。
エースの怒りは収まらないようだ。八村の提言を受けて日本協会は代理人を通じ先週末にオンラインで1時間弱ほど対談し、20日に報道陣に対して現状を説明。日本協会の渡辺信治事務総長は「われわれとしては、八村選手を何か商業目的のために引っ張ったような意図はなかった。五輪前の代表戦を含めてミスコミュニケーションがあり、彼に負担をかけてしまった」と話すにとどめ、具体的な言及は一切なかった。
この日の八村は足首のケガからの復帰戦で22分27秒プレー。3点シュートを2本決めるなど、10得点をマークした。復活への第一歩を踏み出すも、試合後の八村の表情は険しかった。日本協会の現状について「プレーヤーファースト(選手第一)の精神が見られない。そういう方針の日本代表ではプレーしたくないし、そういう団体とはやりたくない」と改めて不満を表明し、続投が決まったトム・ホーバス監督には「練習のやり方、ミーティングも世界レベルではないんじゃないかなと思う」と苦言を呈した。
このド直球発言は瞬く間に日本中へ拡散。賛否両論が巻き起こる中で、今回の騒動によって八村はダメージを受けないとの見方もある。PR会社の関係者は、「例えば(米大リーグ・ドジャースの)大谷翔平選手だったら、今回のような提言をしたらもっと波紋を呼ぶと思うけど、八村選手は大谷選手ほどクリーンなイメージはないのでマイナスはならないと思う。逆にバスケ好きには、はっきりした意見は共感を生んで好感度が上がるのでは」と分析した。
現在の八村はアサヒ飲料、日清食品ホールディングスなど、多くの日本企業とスポンサー契約を結んでいる。日本企業は騒動に厳しいイメージがあるものの、同関係者は「複数の日本企業がスポンサーに入っているけど、大谷選手のようなクリーンさを売りとしたキャスティングは求められていないと思う。むしろ大谷選手と対照的なキャスティングで、より世の中に出てきたら面白いのでは。ウイスキーのような少しダークでカッコいいような案件が来る可能性は十分にあると思う」と指摘した。
八村は「もちろん日本代表でやりたい」と話しつつ、2028年ロサンゼルス五輪は「(どうなるか)もうわからない」と言葉を濁した。渡辺事務総長は「関係修復の時間的猶予はある。コミュニケーションを取っていきたい」と語るが、果たして雪解けを迎える日が来るのだろうか。