東京都豊島区池袋で乗用車が暴走し11人が死傷した事故で禁錮5年の実刑判決を受け服役していた飯塚幸三受刑者が先月26日に死亡していたことが分かった。死因は老衰。93歳だった。
事故で妻・真菜さんと娘・莉子ちゃんを亡くした松永拓也氏は25日、訃報を受けて自身の「X」を更新しコメントを発表した。飯塚受刑者を追悼し「妻と娘は、本当に無念だったと思います。ただ、飯塚さんにとっても、大きな責任を背負いながら刑務所で最期を迎えたことは、とても無念だったことでしょう」とつづった。
また、飯塚受刑者に対しては「『天国で真菜と莉子に会えたなら、一言謝ってほしい』という想いは正直あります。しかし、それ以上に強い感情は抱いていません」と吐露。「彼が刑務所で最期を迎える結果となってしまったことに胸が痛む思いもあります」と複雑な胸の内を明かした。
今回の事故で高齢ドライバー問題が大きく取り沙汰されるようになった。「ただ私は、『若年者と高齢者の対立構造』になることを望んでいません。免許返納だけではなく、いかにして高齢者の方々が車に頼らずとも、安心して豊かな日々を送れる社会を築くか。それが、私たち全員にとっての課題です。私たちもいつかは高齢者になるのですから」。
松永氏は約8か月前に行った飯塚受刑者との面会を回顧した。「彼は深い後悔を滲ませていました。そして、私が交通事故を防ぐために活動している想いに応え、言葉を託してくださいました」。その言葉を無駄にしないよう、社会への働きかけを続けていく心構えだ。「私はこの出来事を未来の糧にし、安全な社会の実現を目指していきたいと思います。(中略)真菜は愛を、莉子は命の尊さを教えてくれました。交通事故、社会のみんなの力で無くしていきましょう」と呼びかけた。