【赤ペン! 赤坂英一】昭和、平成時代の名将・野村克也氏は、他球団の戦力外選手を獲っては復活させ「野村再生工場」の異名を取った。その伝でいけば、令和のDeNAもそろそろ「番長再生工場」と呼ばれるようになってもよさそうだ。
DeNAは今オフ、他球団を解雇された左投手を2人獲得した。前阪神の岩田将貴投手(26)と支配下で、前ソフトバンクの笠谷俊介投手(27)と育成で契約。三浦監督は期待を込めてこう言っている。
「他球団で戦力外になりましたが、新天地の横浜でもうひと花もふた花も咲かせてほしいですね。いいきっかけをつかんでね。きっかけにできるいろんな材料は、コーチやアナリストからいっぱい提供できると思いますので」
26年ぶりの日本一となったチームのブルペンを支えたリリーフ投手も移籍組が多かった。抑えの森原康平投手(32)は楽天との交換トレードで、中継ぎの佐々木千隼投手(30)はロッテから現役ドラフトで移籍。堀岡隼人投手(26)は巨人を戦力外となり、育成契約で拾われた。
先発、中継ぎの両方で貢献した中川颯投手(26)も、オリックスを2度戦力外となってから加入。シーズンでは3勝1セーブ、日本シリーズでは中継ぎで3試合に登板して無失点と日本一に貢献した。
先発陣には巨人にFA移籍した山口俊(引退)の人的補償で移籍してきた平良拳太郎投手(29)もいる。DeNAで初めて先発ローテに入り、好投を見せたと思ったら故障してしまうのが課題だが(今季は腰椎間板ヘルニアで離脱)。
その中で最年長の森原は、CSファイナルステージを勝ち抜いた直後、しみじみと語っている。
「僕が今、このマウンドに立ってるのは奇跡ですね。(楽天を)出されてからベイスターズさんに拾ってもらった感じなんで。颯、堀岡、千隼とか、そういう境遇の投手からすると感慨深いです」
そういうハングリーな投手をどうやって探し、獲得を決めているのか。平成のノムさんは自分の眼力で判断していたそうだが、令和の三浦監督は「僕だけが決めてるわけじゃない」とこう言う。
「球団の編成のほうから話を聞いてね、(投手の)映像を見せてもらって、僕からもいろいろ感想や意見を言わせてもらっています。それで、アナリストからのデータも見て、最終的に(獲得するかどうかを)判断する。僕だけでも、アナリストだけでもなく、チームとしてやっていますから」
そのチーム力で来季は新たな投手を再生できるか。27年ぶりリーグ優勝のカギとなりそうだ。