絶対王者の連覇か、それとも――。第103回全国高校サッカー選手権(12月28日開幕)の組み合わせが決まり、かつて清水東(静岡)で得点王に輝くなど大活躍した元日本代表FW武田修宏氏(57=本紙評論家)が今大会の行方を徹底予想した。前回大会を圧倒的な強さで制した青森山田(青森)は4番手評価にとどまり、大津(熊本)を優勝候補の大本命にプッシュ。注目の怪物ストライカーにも期待を寄せた。
まず武田氏が優勝候補の筆頭に挙げたのが、高校年代最高峰の舞台である「高円宮杯U―18プレミアリーグ」WEST(西地区)で圧倒的な優勝を果たした大津だ。
「今年の選手権は、プレミアWESTで優勝した大津が実力はダントツ。守備が堅くて、両サイドにスピードのある選手がいて、FW山下景司(3年)や10番でJ2清水に内定しているMF嶋本悠大(3年)など攻撃陣も強力。優勝候補の中心になる」。武田氏は今月上旬、大津のグラウンドを訪問して視察。高校サッカー界屈指の名将として知られる平岡和徳テクニカルアドバイザーらとも意見交換し、その強さを目の当たりにした。
対抗は、流通経済大柏(千葉)。「プレミアEAST(東地区)でパワーや技術を見せていて、強豪が揃う千葉県予選を勝ち抜いている。選手の質も高い」と関東の雄を高く評価。「この2校が抜けている」と強調した。
3番手は、武田氏の地元・静岡の代表となる名門の静岡学園だ。「けが人が戻ってきたら全国でも面白いチーム。特に、右サイドバックのDF野田裕人(3年)の活躍が注目される」。高い技術に加えて、リーダーシップも抜群の主将がチームのカギを握る。
前年度王者の青森山田は4番手で〝伏兵〟の評価。「攻撃でなかなか点が取れない。守備は堅いが、大津のほうが(体格が)デカくて堅い」と指摘。また「同じブロックで早々に静岡学園と当たる」と強豪揃いで〝死の組〟のAブロックに入った組み合わせも厳しい。
「ダークホースとしては前橋育英(群馬)を挙げたい」という武田氏は、復活した古豪にも期待を寄せる。「帝京(東京B)が久々に出るのは楽しみ。僕らの時代では、本当に憧れの名門。そういったチームがまた出るのはうれしい。ただ、1回戦でいきなり強豪の京都橘(京都)と対戦する。開幕戦でもあり注目だ」と初戦から必見のカードだ。
選手個人で最も注目を集めるのが、昨年のU―17W杯で日本代表のエースとして4得点をマークし、イングランド・プレミアリーグのサウサンプトン入団も内定している〝怪物ストライカー〟FW高岡伶颯(3年=日章学園、宮崎)だ。
「スピードとバネがすごい。背は低いが、前を向いたらDFを置き去りにする。日章学園が上位に進出できるかは、エースの出来次第だろう」と予想。「スピードはプレミアリーグでも、どれだけやれるか注目したい」と選手権の先にある世界最高峰の舞台にも視線を送る。
未来のスターたちによる熱戦が楽しみだ。