ジャイアンツからFAとなっていたブレイク・スネル投手(31)が大谷翔平投手(30)が所属するドジャースと契約合意に達したと26日(日本時間27日)、複数の米メディアが伝えた。
先発左腕のスネルはレイズ時代の2018年と、パドレスに所属した23年にサイ・ヤング賞(最優秀投手賞)を獲得。今季は8月2日のレッズ戦でノーヒットノーランを達成し、5勝3敗、防御率3・12の成績を残し、シーズン終了後にFAとなった。今オフのFA市場では投手で最大の目玉とされ、5年総額1億8200万ドル(約276億6000万円)で契約を結んだ。
ドジャースは大谷を10年7億ドル(約1013億円)、山本由伸投手(26)を12年3億2500万ドル(約470億円)で獲得するなど昨オフの補強に14億ドル(約2169億円)も投じたとされる。その成果もありチームはワールドシリーズを制覇したが、それでも飽き足らず、今オフもド派手な補強に打って出た。
そんな〝札束攻勢〟にはドジャースファン以外は冷ややかだ。SNSでは「最悪」「またドジャースか」と非難ごうごう。こんな失望の声に交じって多くのファンが指摘しているのが「サラリーキャップ制の導入」だ。
戦力の均衡化を目的に年俸総額上限を調整するサラリーキャップはNFL、NBAが施行しているが、MLBは導入していない。代わりに定められた年俸総額の上限を超えた場合は「ぜいたく税」を課せられる。つまり、ペナルティーは発生するが設定された年俸総額を超えても問題はなく、ドジャースのような銀河系が誕生するのだ。
この「サラリーキャップ制の導入」と並行して論じられているのが「給与後払いの禁止」。大谷は毎年の年俸が200万ドル(約3億円)で、残る97パーセントの6億8000万ドル(約986億円)は10年契約が終わる34年以降に支払われる。
大谷の年俸対象は税計算上のペイロールで4600万ドルとなり、浮いた金額を補強費に当てられるため、一部では「ぜいたく税の抜け道」と批判されている。
ファンも「支払いの延期はサラリーキャップよりもMLBにとって大きなダメージになる」「小さな市場のチームだけが給料を延期できるようにしてバランスをとればいい」「そもそも大谷が年間200万ドルとは正気の沙汰ではない」と声を上げた。
米メディア「ラリー・ブラウン・スポーツ」も「多くの人がMLBにサラリーキャップを導入し、ビッグマーケットのチームが球界のトップフリーエージェント全員を買い占めるのを防ぐよう求めた」と指摘。さらに「サラリーキャップを導入したからといって資金力のあるチームが競争上の優位性を保つことを完全に防げるわけではない。チームの給与に上限を設けることが大きな問題ではなく、チームが支払いをずっと後年に延期するほうに問題があると感じている人もいる。大谷の資金の多くは10年も先延ばしにされ、彼のチームは二刀流のスターを中心に他の動きをする柔軟性を得た。その柔軟性が、ドジャースがスネルと契約することを可能にしたのかもしれない」と解説した。