ドジャースがサイ・ヤング賞を2度獲得したブレーク・スネル投手(31)と契約合意に達したと伝えられ、大きな物議をかもしている。
ジャイアンツからFAとなっていた左腕は5年総額1億8200万ドル(約274億8000万円)の大型契約。昨オフには大谷と山本の2人だけでも10億ドル以上の予算を計上し、今季はリーグ優勝をはじめ4年ぶりのワールドシリーズ制覇も成し遂げた。その王者の戦力がスネルの獲得でさらに増すことで、他球団のファンを中心に「悪の帝国」といったやゆする文言が飛び交い「野球界にとって悪いことだ」などすさまじい批判にさらされている。
こうした風潮に真っ向から異を唱えたのが米メディア「OUTKICK」の記者、イアン・ミラー氏だ。ミラー氏はスネルの獲得報道から一夜明けた27日(日本時間28日)に「文句を言っているファンたちは的外れで、野球の仕組みを誤解し、責任がないところに責任を押しつけている」とバッサリ斬り捨てた。
最大の理由に挙げたものがスネルの契約形態だ。米報道によると、総額約275億円のうち契約金が5000万ドル(約75億5000万円)で、6200万ドル(約93億6000万円)は後払い。契約期間中の実際の年俸は1300万ドル(約19億6300万円)だという。
同氏はこの点に切り込み「怒りの矛先を向けるべきは、チームをより良くするためにカネを使うことを拒む他の億万長者のオーナーである。激怒しているファンは選手組合とオーナーグループの双方が合意している、選手が選択すれば金銭を繰り延べできるルールを理解していない」「他のチームがそれを利用しようと思えばできたはずだ。大谷は30球団すべてが獲得可能だった。スネルもそうだった。フリーマンもそうだった」と指摘した。
さらに、同氏は「補強=優勝」の構図にも反論し「ドジャースが2025年に連覇を果たす確率は、スネルの加入によって月曜日の15%程度から火曜日の15・5%に上昇した。なぜならこのスポーツにはランダム性と運が付き物で一人の選手が支配することは許されないからだ」と断じた。
それでも同氏は補強に〝消極的〟な他のオーナーたちへの不信感が消えず、最後に「勝利にこだわらないなら、トースターの会社を買えばいい。野球は競争企業だ。残念ながらドジャースはそのように振る舞っている数少ないチームの一つだ」と強烈な皮肉をぶちかましていた。