新日本プロレス28日茨城大会の「ワールドタッグリーグ」Bブロック公式戦で、偉大なるIWGPタッグ王者のグレート―O―カーン、HENARE(32)組が矢野通(46)、ボルチン・オレッグ(31)組から圧倒的勝利を収め勝ち点を6に伸ばした。
史上最強タッグの呼び声高いオーカーン&HENAREはWTLの中で、ベストジーニスト賞における木村拓哉的存在。早々に5連覇して殿堂入りしてもらわないと、他チームに光が当たらないのではないかと危惧する声が局地的に上がっている。
この日の対戦で注目を集めたのが、レスリング世界選手権でフリースタイル125キロ級5位入賞の経歴を持つボルチンとのマッチアップだ。記憶こそ失われているが、オーカーンのレスリング技術は他の追随を許さぬものがあり、ボルチンと超ハイレベルな攻防が繰り広げられた。世界の舞台で戦ってきたボルチンを相手に、豪快にサイドスープレックスを決めて格の違いを証明。生まれた時代が違えばアレクサンドル・カレリンに代わって霊長類最強の男の称号を手にしていたのはオーカーンだったと言っても過言ではない気がする。
その上オーカーンはタッグのスペシャリストなのだから、もはや完全無欠のスーパーヒーローの域に達しつつある。矢野を孤立させて強烈無比なサンドイッチ式キックを繰り出すと、インぺリアルドロップを狙う。これは回避されてしまいボルチンのドロップキックで吹き飛ばされたが是非もなし。矢野の急所攻撃を防いだHENAREがファイヤーマンズキャリーで担ぎ上げると、オーカーンが走りこんでインペリアルドロップがさく裂。その驚異的なスピードはまさに疾風迅雷と呼ぶにふさわしく、オーカーンの八面六臂の活躍で連合帝国に凱歌が上がった。
試合後のバックステージでは「今宵、ただ一つ気になったことがある。オレッグ…そのままでいいのか? 貴様のガタイ、テクニックがあったら、エンパイアに来たらもっと輝けるんじゃないか? 日本では青信号を(エンパイアのイメージカラーの)緑と言ったりするからな」と、何とボルチンを連合帝国に勧誘。レスラーならば誰もが憧れるオーカーンからの直々のスカウトは、例えるならば山本由伸とドジャースの交渉面談に大谷翔平が同席するようなもの。もはや断る理由を探す方が難しく、ボルチンのエンパイア入りは不可避と見る向きがもっぱらだ。
これで3勝1敗の勝ち点6となったオーカーン組だが、ボルチンの帝国入りを見越せば矢野組の勝ち点4を合算してもよさそうなもので、事実上は勝ち点10で全勝以上の成績との見方が成立する。優勝決定戦(12月8日、熊本)進出はもちろんのこと優勝も確実で、本年度のプロレス大賞最優秀タッグ受賞もほぼ当確と言っても過言ではない気がする。