2019年の東京・池袋暴走事故で妻子を亡くした松永拓也さんを脅迫するメールを送ったとして中学3年の女子生徒(14)が警視庁少年事件課に28日、脅迫と威力業務妨害の疑いで書類送検された。関係者からは警察の対応を疑問視する声が上がっている。
書類送検容疑は9月11日に松永さんが副代表理事を務める「関東交通犯罪遺族の会(あいの会)」に対して「殺してあげようか」とメールを送ったり、松永さんの講演先に「妨害しにいこうか」とメールを送ったりして業務を妨害した疑い。メールは計11通あった。女子生徒は容疑を認め反省しているという。
脅迫を受けた松永さんはⅩ(旧ツイッター)で「未成年があのような恐ろしい殺害予告を行ったことに、驚きと戸惑いを感じています」と告白。女子生徒に対して「深く反省した上で、自分と他人の命を大切に生きていく一歩としてほしいと願っています」とコメントしている。
一方で「あいの会」の代表理事を務める小沢樹里氏はXで気になることを指摘している。「この件に関し、私たちは以下の問題点を社会に訴えたい」として、「警察の初動対応の課題」を挙げている。小沢氏によると、「事件当初、地元警察署の対応は『緩慢』であり、被害の詳細を何度も説明しても理解が得られず、被害届も『即時には受理されず一旦保留にされ』、捜査が進展しない状況が続きました」という。
どうして警察は即座に動かなかったのか。実はこうしたケースは少なくないという。SNSのトラブルを警察に相談したことのある男性は「Ⅹでのトラブルだと明かした途端に態度が変わって、『Xでやり取りがあるならあなたも反論したのではないか』『我慢すればいい』と門前払いでした」と振り返った。
SNS事情に詳しいジャーナリストは「ネットのトラブルはたくさんあり、しかもイタズラも多く、警察としてはすべてに対応していてはキリがないという事情があります。人手も多くはありません」と指摘。
続けて「松永氏ほど有名で、かつ殺害予告だったのにもかかわらず警察の対応が悪かったことは意外です。松永氏に対してもこの対応なら『自分なんてもっと相手にされないのではないか』と相談をちゅうちょする人もいるでしょう」(同)。
今回の件で影響がありそうだ。