石破茂首相は29日、衆参両院の本会議で第2次石破内閣としての所信表明演説を行った。
先の衆院選で選挙前より、4倍以上の議席を伸ばした国民民主党(玉木雄一郎代表)が見直しを主張する「年収103万円の壁」の問題について、石破首相は「2025年度税制改正のなかで議論し引き上げる」と表明した。
暫定税率の廃止を含むガソリン税は「自動車関係諸税全体の見直しに向けて検討して結論を得ます」との考えを述べた。
政治改革をめぐっては使途公開義務がなかった政策活動費の廃止、政治資金をチェックする第三者機関の設置、各議員に月100万円が支給される調査研究広報滞在費(旧文書通信交通滞在費)の使途公開などを並べて年内での決意を示した。
しかし、野党第1党の立憲民主党などが求める企業・団体献金の廃止に触れなかった。これに野党席から「自民党のせいだ」「どうしてだ!」と激しいヤジが飛んだ。
外交・安全保障分野は、日米同盟が基軸との姿勢を改めて明確に。来年1月に大統領に就任するトランプ氏との首脳外交には強い意欲を示した。中国に対しては「主張することは主張する」とした上で、日中共通の利益を追及する「戦略的互恵関係」を推進する考え。国益に基づく現実的な外交を考えていくという。
強盗・詐欺被害が相次ぐ匿名・流動型犯罪にも言及。「〝闇バイト〟による強盗・詐欺の報道を見ない日はない。日本社会のなかで大切にされてきた価値観・道徳観を揺るがしかねないものであり、こうした犯罪を断じて許してはならない。闇バイトを募集する情報のインターネット上からの削除にも一層努めてまいります」と強調した。
治安・防災への対応では、能登半島地震や豪雨での教訓を踏まえ「被災者が災害関係の各種申請を容易に行うことができるよう、さらなる改善を取り組みます」と石破首相は述べた。
国会は来週から石破首相の所信表明演説を受けて、与野党各党による代表質問が行われる。