降圧剤を飲んでも血圧が下がりにくいという人は二次性高血圧の可能性を疑った方がいいという。病気などが原因で血圧が上がるというが、実は服用している薬が影響することもあるようだ。どのような薬が関係してくるのか、そして二次性高血圧を放置するとどうなるのか、循環器専門医の高橋通先生に教えてもらおう。
――薬剤誘発性高血圧とは
高橋医師(以下、高橋)薬の副作用として血圧が上がる症状が出てしまうことです。血圧が上がりやすい薬としては、解熱鎮痛剤、ステロイドや、一部の抗うつ薬、経口避妊薬、甘草を含有する漢方などがあります。
――解熱鎮痛剤は市販薬にもある、とても身近な薬です
高橋 解熱鎮痛剤の中でもNSAID(エヌセイド)と呼ばれるグループの成分は、水分や塩分を体にため込むという性質があるため、血圧が上昇しやすくなります。イブプロフェン、ロキソプロフェンといった成分が代表的です。風邪などで一時的に使用する分には問題はないですが、長期服用をしている方は注意が必要です。
――病気を治すために飲んでいるのに、別の病気を招くことがあるのですね
高橋 病気の治療に薬は必要ですので、多少の血圧の上昇もやむを得ないケースは確かにあります。とはいえ、必要以上に服用することは避けた方がよいですし、主治医と相談されることをおすすめします。
――二次性高血圧を放置するとどうなりますか
高橋 原因にもよりますが、原因疾患自体の悪化、さらにはほかの病気を合併していく可能性もあります。例えば睡眠時無呼吸症候群が原因の場合は放置し続けると、心筋梗塞や脳梗塞などにつながる可能性もある。昼間に眠気が出て事故を起こしてしまうなんてことも考えられますね。ほか、副腎に腫瘍ができている場合ですと、腫瘍を取り除いても必ずしも血圧が正常まで下がるとは限らない。
――やはり、早期に原因を特定し、対応する方がいいわけですね
高橋 原因がどの病気であろうとも、早ければ早いほど治療の選択肢は増えます。使用する薬も減るでしょうし、それこそ大きな病気につながりにくい。また、血圧上昇の原因を特定しないと、血圧が下がらないということで降圧剤が増えることにもなりかねない。もし、薬が増えているのに血圧のコントロールができておらず、二次性高血圧の可能性を除外していないのであれば、主治医に相談してみることをおすすめします。
☆たかはし・とおる 日本循環器学会循環器専門医。1994年に筑波大学医学専門学群卒業。2008年東京大学大学院医学系研究科修了。現在、東京国際クリニックの院長を務める。「循環器専門医だから知っている! 40歳からの正しい予防医学」(ダイヤモンド社)著者。