【ア・ウォーク・アクロス・ザ・ルーフトップス/ブルー・ナイル(1984年)】
ネオアコ全盛期にデビューしたスコットランド・グラスゴー出身の伝説的なバンド。結成から40年以上で発表したアルバムはわずか4枚しかない。
とにかく他のバンドとは一線を画す存在だった。沈黙を想起させる不思議な音空間にシンセサイザーとパーカッション、生ギターが鳴り響く。抑制の利いたサウンドで、クールかつ乾いた情緒性を表現した稀有なバンドだった。このセンスはフロントマンのポール・ブキャナンによるところが大きい。
音数は少なく、まばらで繊細に電子楽器を使いながらもエレクトリック感を感じさせない生に近い独特の音空間を展開した。デビューアルバムに収録された「ア・ウォーク・アクロス・ザ・ルーフトップス」「ティンセル・タウン・イン・ザ・レイン」「ステイ」「ヒート・ウェーブ」などの名曲群は他のバンドに多大な影響を与え、セールス的には成功しなかったが批評家には絶賛された。
いわゆる「ミュージシャンズ・ミュージシャン」でロッド・スチュワート、アニー・レノックス、アイザック・ヘイズらの大御所たちにも楽曲をカバーされた。とにかく独特の不思議な音空間はアナログで味わってほしい。89年のセカンド「ハッツ」も名作だ。