夢が現実味を帯びてきた――。福岡国際マラソン(1日、福岡市・平和台陸上競技場発着)で、吉田祐也(27=GMOインターネットグループ)が大会新記録の2時間5分16秒(速報値)で4年ぶり2度目の優勝。来年の世界選手権(東京・国立競技場)の参加標準記録(2時間6分30秒)を突破した。
攻めの走りで勝利を引き寄せた。序盤から先頭集団で展開すると、ペースメーカーが外れた30キロ付近で揺さぶりをかける。イスラエル選手との差を広げ、34キロ過ぎからは独走。最後はガッツポーズでゴールテープを切った。「自分の中でタイムは意識していなかった。優勝争いを常に意識していた。優勝できれば自然にタイムがついてくると思っていた。大会記録を更新できてうれしい。ペースの落ち込みを出さず、自分のペースで組み立てるレースができた」と声を弾ませた。
青学大卒業後は大手食品メーカーのブルボンに就職予定だったが、4年時の別府大分毎日マラソンで2時間8分30秒をマーク。同社の内定を辞退して「2024年パリ五輪、28年ロサンゼルス五輪のマラソン日本代表を目指します」と現所属先で競技を続ける道を選んだ。
パリ五輪の出場は逃すも、この日のレースで日本歴代3位の好タイムを記録。自国開催の世界選手権代表入りに大きく前進した。それでも「自分の中ではまだまだこの力を持ってしても、世界で勝負することは厳しいと思っているが、少しずつ良くなっている。必ず世界と戦う力をつけたい」と慢心は一切なし。4年後のロサンゼルス五輪を見据える上で、自信につながりそうだ。