秋田市内のスーパーマーケットに籠城した熊の駆除をめぐり論争が起きている。
熊は先月30日に秋田市土崎港西のスーパー「いとく土崎みなと店」に侵入。男性従業員を襲って、頭や顔にケガを負わせ、そのまま店内に居座った。2日に警察官などが店内に仕掛けた箱わなに入っているのを確認し、駆除した後に店内から運び出した。市によると、熊は体長約1m、体重約70キロの雌だった。
発生から3日目でようやく騒動は終結したが市には「なぜ熊を殺したのか」「山に返してあげればよかった」といった苦情が寄せられたという。
一方でSNS上では「熊は餌場にまた戻ってくる習性があるので、山に戻してもまた戻ってくる」「苦情を言っている人は自分の家の中に熊が現れたらどうするんだろうね」といった声もあった。
また、秋田県議会議員の宇佐見康人氏は、自身に「熊を殺すことしか考えない宇佐美議員へ」(原文ママ)と題したメールが届いたことを「X」(旧ツイッター)で報告。別の投稿では「無闇でもありませんし、殺したがっている訳でもありません。偉い偉くないの問題ではなく、県民、市民の生命と財産を守るための策の話です。感情と事実を混同しないでください」と理解を求めた。
「今回、熊が出没したスーパーは山からかなり距離のある地域。人と車の多い所にも出没してしまった。熊が餌場を市街地まで広げたのではないかと思われます」(地元関係者)
今回、熊を駆除するのに55時間以上が経過したのは、住宅地があるため店外に熊を出すことができなかったのだ。店内で麻酔を使い眠らせたうえで、電気ショックで駆除した。
浅尾慶一郎環境相は3日の閣議後記者会見で「住民が苦労していることもよく受け止めているし、できるだけ早く熊に対応できる法律を提出したい」と述べた。
大切なのは地元民の言葉に耳を傾けることだ。