【取材の裏側 現場ノート】「どうしたら競技の人気が高まりますかね?」。近年は娯楽の種類が多様化したことで、以前に比べてスポーツへの注目度も低下。危機感を持つ競技関係者の声を聞く機会が増えた。
各競技団体が苦戦を強いられる中で、日本スケート連盟は全国各地でスケート教室を開催。先月17日には愛知・豊橋市で行われ、フィギュアスケート男子で2014年四大陸選手権覇者の無良崇人氏、同女子で18年全日本ジュニア選手権覇者の横井ゆは菜氏、同女子で15、16年四大陸選手権銅メダルの本郷理華氏が特別講師を務めた。約80人の参加者と交流した無良氏は「スケート教室が開かれることで、スケートを始めてくれるきっかけになったら」と振り返った。
愛知と言えば、10年バンクーバー五輪銀メダルの浅田真央、元世界女王の安藤美姫氏、五輪2大会連続出場の鈴木明子氏ら多くのトップスケーターを輩出してきた。しかし、フィギュア王国でもリンクの減少などでスケートと触れ合う機会が減っている。だからこそ、横井氏は「直接スケートの楽しさを伝えるのは、こういう機会じゃないとなかなか難しい」と切り出した上で、スケート教室開催のメリットを力説した。
「体験することで、選手がやっていることのすごさがわかるのでは。それでまたスケートを見たいなと思ったりすると思うし、逆に簡単だなという部分も体験しないとわからない。実際に体験してみて、スケートの面白さを知ってもらって、スケートをやりたいと思ってくれる子が増えたら」
スケート教室の序盤は緊張した表情だった子供たちも、終盤には笑顔を見せる場面が多くあった。各競技の普及活動に正解はないが、体験の場を設けることが一つのヒントになると実感した。
スポーツの火を次世代につなぐためには、子供たちがスポーツと触れ合う機会を創出していく必要がありそうだ。(五輪担当・中西崇太)